得も損もない言葉たち。

日常を休まず進め。

あなたのクスッとをください。

そこに触れておく。こと

 

そこに触れておく

 

オーシャンズ13のはじめにマットデイモンが、ブラッドピットに対して、

前作に登場した彼女について尋ねるシーンがある。

 

「彼女はどうした?」

 

「関係無いね」

 

たった一言のやりとりなんだけど。

このやりとりがあるからこそ、そのあとのシーンで彼女は今作に関係の無い存在になる。

ということに、最近やっと気付いた。

 

というのも、ドラえもんのコミックを読んでたときに、

おなじようなシーンが登場したんです。

のび太が、その学力からは到底生まれない疑問をドラえもんにぶつける5コマ。

 

雲を固めることについて、読者が抱く違和感。

 

「その説明は長くなるからやめておこう」

 

「なるほど」

 

たった5コマで、その後ずっと付きまとうである疑問を吹き飛ばしてしまう。

本作とは一切関係ないことにしてしまう。

たった数秒のシーンに製作者の意図があって、すごく好き。

 

誰かと何かを話すときに、

引っかかってほしくないことは先に言う。

 

「そこに触れておく」という手法は、

コミュニケーションに欠かせないものだと気づきました。

 

中村 駿作さんの写真

 

無力で悔しくて、泣きながら自転車に乗った金曜。

ぼくがいちばんお世話になったお客さんが施設に入った。


運用商品のお話を熱心に聞いてくれて、いつも助けてくれたお客さんだった。


もとより、いつも訪問したら一緒に部屋の片づけをしたり、アイスを買っていって食べたり、そんなことをしていた。


昨年の12月30日、ぼくは一年の最後、そのお客さんの家へ行った。


体調がとても悪そうだった。風邪なのか持病なのか分からない。

ぼくにできることは、正月が明けて4日からのデイサービスまでの食料品を買ってきてあげることと、いざという時のために病院の電話番号を大きく書いてあげることぐらいだった。


結婚をしていないので、家族はいない。

親族はいるが、普段は連絡がなく、

お金が必要になったらせびりにくると聞いていた。


お正月が明けて、いちばんにそのお客さんの家へ行った。

やっぱり親族は誰も連絡すらなかったようだった。

その日は、家を掃除して帰った。


数日後から、突然、電話が繋がらなくなった。

毎日通ったが、いつも留守。


そして、今週の月曜日、

お客さんの姪から電話が入った。


「おじが施設に入ったので、お金のことを相談したい」


支店長と一緒に施設へ行った。

とても豪華な施設で、毎日おいしい手作りの料理が出るような場所。

よかったなぁってちょっと思った。

ここなら、生活はとても快適だって思った。


「で、遺言のことでお聞きしたいのですが」


姪の口から、そんな言葉が飛び出たことにぼくはビックリした。

本人の口からではなく、相続人の口から出てきた言葉に、

ぼくはとにかくビックリした。


お客さんは、一切顔をあげてくれなかった。

ただただ、病人あつかいされて体をかかえられて、

「おっちゃん、おっちゃん」と声をかけられていた。


そこから、毎日電話がかかってきた。

もちろん、本人からではなく、相続予定人から。


「おじは、施設からもう出れないので貸金庫に通帳を預けたい」

「鍵とかは、貴重品なので私たちが預かる」


何を言ってるんだと思った。

ようやく元気に生活できるようになりそうな人に、

遺言の話を持ちだし、資産は貸金庫に封印する。

すべてを取り上げて、もはや軟禁状態にされてしまうわけで。

本人の口から、運用の話をされたが、ほとんど無視だった。


許せなかった。

だから、上司にたくさん相談した。

なにか、お客さんと繋がっていられる方法は無いか考えた。


ぼくにできることは何もなかった。

自分の身を守るためには、

ここは言うことを聞かないといけないと言われた。

怒涛のように毎日かかってくる電話。

手続きについての問い合わせ。


今日、お客様の貸金庫の手続きが完了した。


なぜか分からないけど、

手続きに全く関係のない姪の旦那や、娘まで来た。

バタバタと押しかけて、金庫に全てをしまって帰って行った。


印鑑を金庫にしまうと、鍵をなくした時に再発行が大変だということを本人に伝えた。

これがぼくができる唯一の、お客さんを守る方法だった。


もちろん、ぼくみたいな下っ端の発言は流されて、金庫に印鑑はしまわれた。

姪の旦那が、こっそり言ったことが忘れられない。


「印鑑だけあっても、銀行員も何にもできんからええんちゃう?」


悔しくて、久しぶりに泣いた。

久しぶりというか、初めてかもしれない。


結局ぼくは、なにもできず、いちばんお世話になったお客様を施設に帰らせてしまった。

机をひっくり返せなかった。

指さして、「おまえらな」って言えなかった。


一生忘れない悔しいになったと思う。


お金の話をすると、

嫌なことばっかりだ。


つらくてつらくて、嫌になって、

それでもノルマがあるから他のお客さんの家を訪問した。


帰り際に、

「これ息子に買ったついでに、

 あなたにって買ってきたわ。営業は靴下が消耗品でしょ?」


三足の靴下をもらった。

救ってもらった気がした。


ほんとうは、ここに書くかすごく悩んだ。

でも、やっぱり、こうやって書かないとどうしても消化できない自分がいて。


明日から、また、つらいけど自転車にまたがります。


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青春の楽しみ方は、何通りもあるさ。

 

 すこしだけ、特殊な高校生活をおくりました。

 学校の保健室、もしくは、クラスのはじっこにいることが多い高校生活でした。

 サボることもよくあって、家のリビングにいることも多かったです。

 

 学校にも行かず、家にも帰れない日には、

 駅前の漫画喫茶ドリームに夕方までいました。

 仲の良い友達と、そこでバッタリ会って、

 そこで会話しながら漫画を読んだりもしてました。

 個人でやっている小さな漫画喫茶だったので、

 店主のおばさんも何も関与せずにボーっとした時間を楽しんでました。

 夜にはサボりがばれて、親に説教を食らうのですが、

 気づいたらまた、漫画喫茶ドリームにいる高校生活でした。 

 

 文化祭の日には、友達が出ているバンドを見たら、

 囲碁将棋クラブの解放している場所で、

 なにをするでもなく友達と喋っていました。

 だから、囲碁将棋クラブにいることの多い高校生活でした。

 

 

 金曜日に、高校時代の友達と会った。

 休み時間に、大富豪をやっていた友達。

 すごく楽しかったなぁ。

 なんとなく、学生生活を辿るんだけど、

 修学旅行とか文化祭とか、夏休みとか普通の日とか。

 案外いろんなことをぼくはやっていたと思い出しました。

 

 

 真正面から青春に向かっていった日々ではなかったけど、

 それはそれで、すごく楽しかったなぁ。

 友達と話せば話すほど、いろんなことを思い出してきて、

 こんなに早い23時はひさしぶりでした。

 

 

 ぼくは、みんなの中でもとびきり陰気だったので、

 途中は学校に行かなくなったりしたけど、

 いまは卒業して、こうやっておなじ居酒屋にいる。

 

 ひとりでいた時間が長かったぶん、

 ろくな学生生活を過ごしてなかったと勝手に思っていたけど、

 なんだよ案外楽しい3年間だったじゃないかと気づいてしまった夜だった。

 

 

 球技大会の日に、ともだちと2人で映画館へ行った。

 アバターが公開されてすぐの頃で、

 どうしても3Dメガネをかけたいぼくらは学校に行かずに、

 平日の映画館のど真ん中にいた。

 

 その日、ふたりで呪文のように何回も唱えた言葉は、こうです。

 

 

 「ぼくたちが行っても、チームの戦力がさがるから

  そういう意味では、クラスの優勝に貢献している」

 

 

 

 2年ぶりに会った友達だった。

 今度はまた、すぐ会おうと思った。

 

 

 

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宣伝会議賞のせいで、一年でいちばん本屋が怖い日。

 

 2月1日が、なんの日かって言われたら、

 一部の人間はこう答えるのです。

 

 宣伝会議賞の1次審査通過が発表される日

 

 なんの賞かって言うと、

 キャッチコピー、CM案のコンペなのですが。

 ぼくも、毎年何かを掴みたくて必死に応募をしています。

 

 1次審査があって、2、3、ファイナリストと、

 ふるいに沢山かけられて、

 その年のグランプリが決まる非常に大きなコンペなのです。

 

 はじめて応募したのは、大学三年生の時。

 「自分はちょっと面白い」

 こんな漠然とした自信を持って、

 500個ぐらい自信満々のコピーを書いて応募した。


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 結果は、たったの2本。

 1次審査の通過率は、1%ぐらいなのですが、

 ぼくの書いたコピーはそれを大きく下回り、たったの0.4%。

 しかも通過したコピーも、書いたことすら覚えていなかったもの。

 ECCと、学習塾のコピーが1つずつ。

 

 恥ずかしかった。

 折れた鼻が恥ずかしかった。

 なのに、ちょっとだけ雑誌に名前がのって喜んでる自分がいたりして、

 自分はなんてツマラナイ人間なんだろうと心底思った。

 ファイナリスト、グランプリのコピーをみて、

 自分の「面白い」は、なんの意味もない言葉遊びだと気づいた。

 

 

 

 

 次の年は、4本が通過した。

 宣伝会議から発売される本をたくさん読んで。

 ツイッターで〇〇のコピーというお題が出されるアカウントがあって、

 たくさんの人の発想を盗もうとした。

 憧れるようなコピーにもたくさん出会った。

 もちろん、結果は出ず。

 4本のコピーは、あっさり1次審査で終わった。

 

 その時に書いたコピーで、ひとつだけ自分が好きなもの通った。

 

 ・横綱は、自分で学んだから強い。

  (ECCで外国語を学びたくなるコピー)

 

 相撲が大好きで、特に好きなのが取組後のインタビュー。

 海外出身の力士は皆、通訳なしで素晴らしく綺麗な言葉を使います。

 

 稀勢の里横綱に昇進しましたが、、

 その頃は白鵬が負けなしだった時代です。

 

 「あぁ、きっと、海外で活躍する人は、

  自分で言葉を学んだからこそ、精進するし、必死に頑張れるんだろうな」

 

 そんなことを考えて書いたのを思い出します。

 

 

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 昨年度は、9本の通過でした。

 2→4→9と、倍ずつ増えてきた通過数。

 それでも、20本30本通過する人がいるなかで、

 ぼくはアマチュアのアマチュアにはかわりません。

 なにせ、完治不可能なぐらいボッキリと鼻を折られているので。

 

 嬉しいことに、

 結果としては、3次審査まで進むことができました。

 

 通ったコピーは、

 地方銀行で営業をやっているのですが、

 まさかの、ゆうちょ銀行の課題でした。

 

 悶々としていた仕事への気持ちが、

 すこしだけプレゼントをくれた感じがしました。

 あぁ、無駄になってなかったって思いました。

 



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 そこから、宣伝会議賞のコピーライター養成講座に半年通って、

 4度目の、2月1日を昨日迎えたわけです。

 

 

 15本の通過でした。

 昨年よりも、ちょっとだけ前へすすめました。

 

 広告のことに全然興味のない友達に話をしたら、

 「続けてたらやっぱり成長するねんなぁ。それを4年で体現してるんちゃう?」

 って言ってもらえて、スキップしたいぐらい嬉しかったです。

 

 

 今年のぼくは授賞式に行けるのだろうか。

 贅沢を言うならば、行きたい。

 ぼくの1460日は、すこしだけ目標へ近づいていることを願うばかりです。

 

 

 恥ずかしくても、書くぞ。

 ダメダメでも、やるぞ。

 そんな気分で、教わったことや聞いたことを何とか吸収しようとしています。

 たぶん、汚い食べ方ですが、それでもいいのです。

 粘って、粘って、のびたいのです。

 

 ここから、ここから。

 まだまだ勉強の毎日を過ごしていこうと思います。

 

 ちなみに、いまは、

 コピーライター養成講座の上級に通っていまして。

 課題の〆切が明後日に近づくなか、

 自分のブログに逃げてきたのでありました。

 

 

 

ぼくは「従兄弟のお兄ちゃん」であり続けないといけないのだ。

 

 

 もし、あなたの親に兄弟がいて、

 その兄弟に自分より年下の息子や娘がいたら、

 あなたはいとこのお兄ちゃんお姉ちゃんになるわけです。

 

 お兄ちゃんもお姉ちゃんもいなかったので、

 いとこの兄ちゃんはすごく大人に見えていて、

 カードゲームやレゴブロック、ポケモン、何をやっても敵わない存在でした。

 

 何回やっても勝てないカードゲーム。

 圧倒的に強そうなマシンを組み立てるレゴブロック。

 通信ケーブルを持っていることで引き連れているゲンガー、フーディン

 

 何をしても、その強さを見せつけられていました。

 「なにをさせても、すごいなぁ~。大人だなぁ~」って、

 今思うと、ゲームが強いとか、レゴがうまいとか、

 なんとも簡単な理由で羨望の眼差しを向けていたものです。

 

 

 数年がたって、ぼくもいとこの兄ちゃんになった。

 10歳も年下の男の子とよく遊びに行った。

 自転車に乗る練習を手伝ったり、水泳を教えたりした。

 もちろん、カードゲームやポケモンもやった。

 

 

 自転車や水泳は、圧倒的にぼくが教える側。

 全くできない少年に、見本を披露して、ポイントを伝える。

 これは、なんだか気持ちがいい。

 ちょっとずつ上手くなっていく姿を見守ってるのが楽しい。

 

 

 ただ、カードゲームやポケモンは必死だった。

 偶然だったとしても、負ける可能性があるのだ。

 手札がまったくダメで、ボコボコにされたり、

 会心の一撃がヒットして負けてしまう可能性が潜んでいるのだ。

 もし、負けてしまったら、どういう顔をしたらいいのか分からない。

 「大人な、いとこのお兄ちゃん」であり続けるには、

 あらゆる遊びの勝負で負けることは許されないのだ。

 小学生の子に、高校生は「大人やなぁ~」って思われないといかんのだ。

 

 

 …いろんなズルをした。

 手札をばれないように入れ替えたりした。

 負けそうになったらゲームボーイの電池が切れたフリをした。

 レゴは、使いやすいブロックを最初に独占したりした。

 そうやって、「大人な、いとこのお兄ちゃん」として、

 立ちはだかる壁となったのだ。

 

 

 

 社会人になって2年。

 去年から、いとこにお年玉をあげるようになった。

 ぽち袋を買って、親には内緒でそっと渡す。

 もちろん、かわいいから渡すという理由がいちばんだけど、

 

 「いつまでも、俺は立ちはだかる壁だぞ、

  いとこのお兄ちゃんとして崇めるのだぞ 」

 

 なんていうメッセージをこめているのです。

 

 

 もうぼくは、高校生の彼にどんな勝負を挑まれても、

 ズルをせずに確実に勝つ方法を見つけられないなぁ。

 こうなったら、賄賂を出すしかあるまい。

 

 お年玉ってもしかしたら、こんな感じで生まれたのじゃないのかなぁ。

 違うか。

 

 そういえば、今年の正月。

 渾身のジョークを、鼻で笑われたのですが、

 あいつにはまだ分からない笑いだと言い聞かせたわけで。

 お年玉の金額が少なかっただなんて、

 思いたくないわけです。

 

 流石に、そりゃないなぁ。

タイ古式マッサージって、どう古式なんだろ。

 

 マッサージというものに行ったことがない。

 

 スーパー銭湯には頻繁に行くのですが、

 そこにあるマッサージコーナーには一度も入ったことがなくて。

 アカスリも一回もない。

 

 

 肩こりをするほど、パソコンに向かったりしていないし、

 体がバキバキになるほど、肉体労働をしているわけでもない。

 適度に体がしんどくて、精神的にしんどい仕事をしているので、

 なんとも、頑張りをアピールできない日々を過ごしている。

 

 

 なので、どんなマッサージがあって、どんな施術をされて、

 効果はどれぐらいあるのか、値段はいくらぐらいなのか、

 まったく分からない。

 

 先日、いつものようにスーパー銭湯に行った時、

 どうしても気になるマッサージを見つけてしまった。

 

 「タイ古式マッサージ

 

 古式ってなんだろう。

 タイ式マッサージがあるのだろうか、

 比べるとどこがオールドスタイルなんだろうか。

 なにか柔術とか、技名とかがあるのだろうか。

 そんなこんなで興味がグングン湧いてきてしまって、

 だけど、体はそんなにバキバキじゃないし、お値段もそこそこ。

 結局、お風呂のジェットバスの勢いだけで体を癒してきたわけです。

 

 帰ってきても、まだまだタイ古式マッサージへの興味はつきないので、

 タイ古式マッサージの歴史について調べてみた。

 

 なんとまぁ、タイ古式マッサージの創始者は、

 インドのシワカ・コマラパという人だそうで。

 タイなのに、インドなのです。

 そして、このシワカ・コマラパさんは、あの仏陀の主治医であったとのこと。

 精神の病を治すのが仏陀、身体の病を治すのがシワカ・コマラパであって、

 仏教の伝来と共に、タイへとその技が伝わったとされています。

 

「シワカコマラパ」の画像検索結果

 

 

 はじめて、施術を受けた時、仏陀はどんな気持ちだったのだろう。

 

 宇宙人が地球にやって来て、長旅を癒すために、

 施術を受けたらどんな気持ちになるんだろう。

 

 ぼくが、なんの知識もなく初めてタイ古式マッサージを受けたら、

 どんな気持ちになっただろう。

 

 

 気持ち良ければすべてよし。

 案外、結果オーライから生まれてたりして。

 痛いと、気持ちいいは、すごく近くにあったりして。

 

 気になって仕方ないのです。

 なんで、こんなに気になるかって、

 

 

 

 

 

 

 

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    おいてあった写真が、

 どうみても、格闘ゲームのトリッキーな何かにしか見えなかったからなのですが。

 

インターネットと、のらくろの思い出。

 

 

ぼくは、のらくろを、小学校の時に知った。

祖父が、ぼくに教えてくれた漫画。

ほかにもいくつか教えてくれたのだけど、

特にしっかり覚えているのは、のらくろ

 

 

のらくろ という名前の黒い犬の兵隊が、

知恵をしぼって出世していく話だということは、

語り部役である祖父の話で伝わりました。

ちなみに、

話が進むたびに「のらくろ伍長」「のらくろ軍曹」というように、

どんどん出世していくスタイルなので、

今で言う 島耕作シリーズ のようなものだと気づいたのは最近の話です。

 

 

ただ、インターネットがまだ側に無かった小学生。

のらくろの顔が分からない。

黒い犬で兵隊、体はそんなに大きくなくて、知恵をしぼって出世する。

主人公なのだろうけど、どんな顔でどんな言葉を話すのか気になって仕方なかった。

 

 

ある日、家へ行った時に一枚の紙を手渡された。

それは、祖父が描いた、のらくろの絵でした。

ただ、その絵が下手なのか、上手なのかすら分からない。

 

思っていたより体が大きいが、本当なのだろうか。

もっと子どもだと思っていたら、随分おとなのような顔をしているぞ。

 

いろんなことを想像しながら、

その絵が、ぼくの頭の中で「のらくろ」の顔になった。

 

いつもその話を聞くのが日常になっていたので、

作者は田河水泡という人だと聞いていたが、

もはや、作者はおじいちゃんなのではないかと思うぐらいでした。

もしぼくに孫ができたら、バレるまでは、

ワンピースはぼくが作ったことにしようかなぁ。

 

 

 

いつもふたりで近くの古本屋へ行っていた。

ぼくは、こち亀が大好きで、

一冊100円の単行本を2冊買ってもらうのがお決まりになっていた。

その店のレジで、ぼくたちは驚きの出会いをした。

 

 

大特価!のらくろ漫画全集1万6000円!

 ※田河水泡のサイン入りです

 

はじめて出会った、黒い犬だった。

200円しか使わない予定の古本屋で、

祖父はすぐに1万6000円の漫画を買ってくれた。

辞書より分厚い漫画。

あんなに嬉しそうに物を買い与えてくれたのは、初めてだった気がする。

戦時中の自分を支えてくれた漫画家のサインが入っていて、

それを孫と読む時間ができたという嬉しさだったんじゃないだろうか。

だから、即買だったのだろうなぁ。

 

 

あれから、10数年の時が経った。

家の本棚では圧倒的に大きくて重いその漫画全集は、

いまもたまに、ぼくの好奇心をくすぐる。

語り部役だった祖父はもういないけど、

こうやって作品とは出会うことができる、

もっと知りたいと思えばネットで購入だってできる。

思い出と、近い世の中になっている気がする。

 

 

 

今は、インターネットがたくさんの情報を教えてくれる。

漫画全集と奇跡の出会いがなくたって、

その人との思い出に繋がる瞬間はたくさんある。

それってすごいことだなぁって思いながら、

いまぼくは、のらくろを検索して、

こんな話があったんだ!とか、

こんな登場人物いたっけ?とか考えたりしている。

田河水泡という人物にも興味がわいてきた。

 

すべての根っこには、教えてくれた人がいる。

 

語り部って素敵だなぁ。

インターネットってすごいなぁって改めて思いました。

 

 

あぁ、じいちゃんの書いた のらくろ は、

もっとスリムでモデルみたいな体型だったなぁ。

顔もぜんぜん違ったなぁ。



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笑いの誘惑に、素直になったり、耐えてみたり。

 

 

 いろんな笑いかたがある。

 

 くすくす笑ったり

 けらけら笑ったり

 にこにこ笑ったり

 へらへら笑ったり

 

 がはがは笑ったり

 えへえへ笑ったり

 うはうは笑ったり

 にたにた笑ったりする。

 

 どんな笑いかたにも、

 いい感じの笑いかたと、

 嫌な感じの笑いかたがあると思う。

 

 へらへら笑うというのは、

 「なにをへらへらしとんねん!」とキレる上司を想像しがちだが、

 いがいに、辛いことがあってもへらへらと、

 前向きに笑っている人だっているもんだ。

 

 

 にこにこ笑うというのは、

 おひさまのように輝かしい笑顔を想像しがちだが、

 腹の中で何を考えているか分からない怖さがある。

 

 

 いろんな笑いかたがある。

 たくさんの人と接すると、

 たくさんの笑いかたを覚えるのだけど、

 どんな笑いかたをしていても、

 「あの人は、いい笑いかたをするなぁ」と思ってもらえる人になりたいな。

 

 

 大切なのは、面白いことで笑ってること。

 面白いこととは、

 誰かを傷つけたり、何かの犠牲に成り立つものではないことで。

 ・とりとめのないようなくだらないこと

 ・宝物のような気付きのあること

 この2つだと思っています。

 

 

 あの頃の、嫌な感じで笑っていた自分に、

 言ってやりたいことが沢山あって。

 だからこそ、今は、いい感じで笑う人になりたいと思っているのだけど、

 なかなか難しい。

 嫌な笑いの誘惑が日々やってくるけど、だけど、

 あれほど楽な笑いかたは無いし、後悔する笑いかたは無いと思うんです。

 

 

詐欺師のせいで、フリスクがよく減る。 銀行員に潜入 13マス目

 

 

 風邪をひいてしまった。

 急な気温の変化に対応しきれなかったのか、

 はたまた、お腹を出して寝てしまっていたのか。

 熱はぜんぜん無いので、どうやらインフルエンザではないようで。

 中途半端に、元気だ。

 自転車にも普通に乗れるし、階段で5階のお客様のもとへも駆け上がれる。

 

 

 しんどくなろうと思えばできるけど、そういうわけにもいかない。

 なにせ、すべて自分にかえってくるわけで。

 そう考えると、

 いつも通り仕事して、いつも通りコンビニで休むのが一番なのです。

 ただひとつ願うことがあるとすれば、緊急な事態が訪れて、

 自転車で猛ダッシュしないといけなくなることだけは

 ご勘弁ということ。

 

 ま、そういうときに限って、ぼく宛の電話は鳴り響くわけでして。

 

 

 どうやらまた詐欺師が、うろうろしているらしい。

 入行してから何度目だろうか、お客様からの問い合わせ。

 今回は、ぼくに確認のお電話を下さったので事前に防ぐことができました。

 

 

 いろんな姿の見えない詐欺師がいる。

 還付金がどうとか、警察の犯罪防止がどうとか、

 息子が会社のお金に手をつけてしまったとかそんな電話がかかってきたり。

 直接、家まで来て、通帳を預かっていく詐欺師もいれば、

 「お金がかえってきます」と言って、暗証番号を聞き出す詐欺師もいる。

 いろんな手口で、お金を奪おうとする犯罪者がいることを、

 身に染みて感じる日々です。

 

 

 特に、タチが悪いのは、やっぱりオレオレ詐欺

 何度か、だまされてしまって窓口にやってきた「親の顔」を見てきた。

 その悲しみや、焦りに満ちた顔は忘れられない。

 息子が会社のお金に手をつけた悲しみ、

 それでも、いち早く助けてあげたいという焦り。

 会社からの電話で、お子様が事故に遭ったとだまされた人もいまして。

 もはや、それは嘘だとしても傷害事件じゃないのだろうかと思ったり。

 

 詐欺を未然に防げたとしても、

 お父さんお母さんにやってくる大きなショック。

 親切心や、愛や、友情や、

 そういった大切なもので人を傷つける行為は許せぬと強く思います。

 

 

 

 たくさんのご高齢のお客様がいるので、

 ぼくは心配になって電話してまわった。

 「気をつけてくださいね」とか、

 「変な電話なかったですか」とか。

 以前に詐欺にあいかけたお客様には、すぐに電話をした。

 

 

 「こんにちは、〇〇銀行の△△です~」

 いつもの挨拶をして、本題に入ろうとしたが、

 お客様の様子がおかしい。

 話をしていても、どこかうわの空。

 聞き流されているような返事。

 一通り要件を伝えたところで、

 「ところで、あなた本当に銀行さん?いつもの人と声が違うけど」

 と、まさかの質問が。

 

 

 ・・・・。

 そうだ、ぼくは今日、鼻が完全に詰まっている。

 自分で話していても、誰だか分からないマヌケな声になっている。

 疑心暗鬼になるのも当然なくらいに別人だ。

 必死になって、お客様に分かってもらおうと話をした。

 ペットの犬の話とか、このあいだ話をした息子さんの話とか。

 話せば話すほど、だましているような感覚にちょっとだけ陥った。

 

 

 

 あの人の良いおしゃべりなお客さんが、

 すごく疑心暗鬼になっているなぁと思うと、すごく腹立たしかった。

 人を欺くという行為は、なんて卑劣な行為なのか実感した。

 信用したいけど、できないという辛さを植え付ける行為なのだなと思った。

 

 

 

 結局、電話でなが~い世間話をしたのち、

 疑いは晴れ、お客様に「いつもありがとうねぇ~」と言ってもらって電話をきる。

 

 

 

 鼻の詰まりはそのまんま。

 喉のイガイガもそのまんま。

 お薬の効果はまだ出ないみたいだ。

 それでも、つぎのお客様に電話しないと。

 机の引き出しから、フリスクのいちばんスースーするやつを取り出す。

 電話をする前に口臭を気にしてるわけじゃない。

 口の中がスースーすると、鼻の詰まりも一瞬だけスースーするのです。

 その一瞬を逃さず電話をする。

 フリスクはある意味、いつものぼくに戻るアイテムであったのです。

 

 一件に一粒食べるので、

 どんどん減っていくフリスク

 あぁ、明日は食べなくてもスースーしてたらええのになぁと思い、

 今日は、はやく眠るとします。

 

 

 

タイムトラベルを、起こすのだ。銀行員に潜入。12マス目

 

 

 突然ですが、柴咲コウさんが好きです。

 どれくらい好きかって、

 出演していたハーゲンダッツのCMを、ずーっと眺める夜があるくらい好きです。

 NHKの大河ドラマ『おんな城主 直虎』だって、第一回を待ち望んでいたくらいだ。

 ちなみに、三谷幸喜さんも大好きなので、真田丸が終わるのも

 それはそれで寂しかったりするので複雑です。

 

 

 で、その『おんな城主 直虎』なのだけど、なかなか成長しない。

 今日こそは、今日こそは、って思ってテレビを見るけど、一向に成長しない。

 と言うのも、幼少時代で4話つづくため、

 なかなか柴咲コウさんをお目にかかれないのである。

 すべてを見ているわけではないので、出演済みかもしれないのだけど。

 

 

 幼少時代がこんなに長いドラマはめずらしいのじゃないだろうか。

 だいたいのドラマでは、再現シーンでちょっとだけ幼少時代が描かれるか、

 もしくは、長くもって1話ぐらいだろう。

 次の話からは、「20年後」というナレーションが入り、主演の登場である。

 きっと、演技をする子役さんたちが素晴らしいのだろう。

 画がもつ。充分、見ていられる。

 だからこそ、柴咲コウさんは温存され、堂々の登場をはたすのです。

 

 

 

 ぼくの、深い柴咲コウさんへの愛と、浅い大河ドラマの演出への考察はさておき。

 今日も明日も、銀行員に潜入しているわけで、その話を。

 

 

 

 

 寒すぎる毎日。

 海沿いの営業エリアを自転車でまわるのは、何らかの罰かと思うぐらい厳しい。

 きっと、ぼくの前世が犯した罪を、自転車にのって償っているのだろう。

 だからこそ、これ見よがしに「さむいわぁ~!」って海に向かって叫ぶ。

 これ見よがしと言いながら、周りに誰もいないか確認はするけど。

 

 

 アポイントをとっているお客様は、

 暖房がきいてたり、ストーブが置いている部屋へ招き入れてくれる。

 電気カーペットというのは、あれは銀行員のためにあると思う。

 お客様はソファ、ぼくは床という位置関係が多いので。

 あれは銀行員のためにあるのです。

 

 

 問題は、アポイントをとらずに営業に行った先のお客様だ。

 突然現れた、スーツの男に対する目線は、吹き付ける風のように冷たい。

 ドアを開けてくれたら良いほうです。

 それも、この寒さであっという間にドアは閉まる。

 「暖を…、暖をとらせてください」と、目で訴えかけるが、

 そんなのうまくはいかないことは、マッチ売りの少女で学習している。

 

 

 どうしようか。

 寒すぎるけど、コンビニに1日に3回も逃げ込めない。

 次の家、次の家へとピンポンを押して銀行員はまわる。

 まわりにまわって、ようやく。

 

 

 「とつぜんなに?まぁちょっと寒いから入りなさい」

 

 ホームアローンで、ケビンが駆け込んだ教会のように、

 ホームアローン2で、ケビンが駆け込んだカーネギー・ホールの天井裏のように、

 聖母のようなお客様に玄関へ招き入れてもらえたわけです。 

 ま、それだけで満足してしまうのが、ぼくのダメなところで、

 雑談をすこしして、結果も出ずに帰ることになるのですが。

 

 

 それから数日、

 もう一度あらためてアポイントをとって、そのお客様の家へ。

 定期預金だったり、運用商品の話をしようとするも、

 「あなたのせいで、楽しみな韓国ドラマがわけが分からなくなったわ」

 と会ってすぐ、笑いながらお客様に言われる。

 

 

 どういうことか一瞬わからなかったけど、頭の中で整理して答えを出しす。

 きっと、ぼくと話をしている間に、

 大切なシーンが進んでしまったんだ。

  二人が恋に落ちるシーンや、恋人が事故にあうシーン、

 はたまた犯人が判明するシーンが過ぎ去ってしまったんだろうと。

 

 どういうことか聞いてみた。

 

 

 

 

 「部屋にもどってテレビを観てたら、

  知らないオヤジと、オバサンが泣きながら抱き合ってたのよ。

  どうやら話をしている間に、40年も時が過ぎてて、

  あんなに可愛かった子どもが、一瞬でオヤジになってたわ」

 

 

 

 

 「あぁ…。どうやらぼくは、タイムスリップを起こしてしまったわけですねぇ。」

 

 

 …

 

 しばらくそのドラマの話で盛り上がって、

 ぼくはお客様から「タイムトラベルを起こす銀行員」として、

 すこしだけ気に入ってもらえたみたいです。

 

 

 

 みなさんは、『おんな城主 直虎』を観ているときに、

 銀行員が来たらくれぐれも注意するようにしてください。

 帰ってきたら、とつぜん数十年の時は流れているかもしれません。

 

 

 そう、彼らはタイムトラベルを起こす職業なのです。

 

 

 

 

 どんどん寒くなるなぁ。

 また、明日、寒いって叫ぼう。

 

 

 つづく。