得も損もない言葉たち。

日常を休まず進め。

あなたのクスッとをください。

黒の、わ3。

 

和食をいただきに、靴をぬぐ。

その日は、けっこう人が来ていて、

あいてる靴箱を探すことからはじまった。

 

新幹線の指定席とはちがって、

靴箱は自由席です。

 

おなかの調子も、そんなに良くなかったので、

やさしい味付けの御膳をたべたいなぁって思ったりしながら。

 

そんなことより、靴箱靴箱。

 

あ1 ひ2

ひらがなと数字を追っていく。

 

 

ようやく見つけた。

黒の、わ3。



https://www.instagram.com/p/BU5MmPxgjOD/




あ、なんだか、

クロワッサンが食べたい気分。

とか言いながら、

和食を食べた夜がありました。

 

『帰りたくて、家』

 

電車がしんどい。

人がたくさん乗っていれば、乗っているだけしんどいね。

まわりの人たちも、おんなじことを思っているだろうね。

 

ぼくも、満員電車のひとり。

だれかが掴みたいつり革を、必死に手放さないで揺れている。

 

電車がおくれると、

たくさんの人たちイライラしてくる。

なんとなぁく、ホームが居心地の悪い感じになって、

イヤホンをして音楽を聴いていても晴れない。

 

 

おっさんがキレている。

駅員さんをつかまえて、ストレスを思い切り発散させている。

ぼくのイヤホンを通りこして聞こえてくる怒声。

 

会社でうまくいってないのか、

夫婦仲がいまいちなのか知らないけど、

キレたおっさんほど、周りの気分をわるくする生物はいない。

 

1位 キレたおっさん

2位 頭の上をグルグルまわる虫

 3位は、う~ん。家で出くわす何かしらの虫にしておこう。

 

 

その日の遅延は、沿線火災だった。

線路の近くで、火事があったから電車は一時停止。

火がおさまるまで、足止めをくらったというわけで。

 

もちろん、沿線火災なので、

ほかの電車は動いている。

振替輸送もあるから、別ルートで帰宅だってできるのだ。

 

 

なのに、おっさんはキレることをやめない。

ただひたすらに、駅員さんに何かを語っているのだ。

 

 

どうして、おっさんはこんなに怒っているのだろうか。

 

仕事が終わって、ヘトヘトなのに電車が来ない。

だから怒っているんだろう。たぶん。

 

その先に待っているものは、晩酌やテレビ、風呂といった時間だろうな。

おおまかに言うと、家に帰りたくて仕方ないのだ。たぶん。

 

つまり、おっさんはホームシックなのである。

お家に帰りたくて、帰りたくて仕方ないから、

駅員さんにその辛さをぶつけているのである。

 

 

 

野球中継がみたくて、焼酎をのみたくて、風呂に入りたくて、

俺の叫びを聴いてくれ! 『帰りたくて、家』

 

 

イヤホンをつけて、音楽を聴いているから、

本当のことは分からないけど、

とりあえず大体の人がキレている理由なんてこんなもんだ。

 

あとはちょっとの、

仕事がうまくいかないとか夫婦仲がいまいちとか、

そういうスパイスが効いているそれだけなんだ。

 

 

いい年した大人が、

ホームシックで駄々をこねている。

 

そう思ったら、なんだかおかしく見えてくる。

むかしやってた水泳の合宿で、

家に帰りたいと泣いていた少年とほとんど同じだ。

 

 

それからしばらく、

おっさんの『帰りたくて、家』を聴いていたと。

というより観ていた。

 

 

電車はようやく到着して、新快速は動きだした。

もうそれはそれはギュウギュウである。

 

いつもの駅に到着したら、

ホームにはこれまた沢山の帰宅人がいた。

ぼくの乗ってきた電車を待ちにまった人たち。

 

 

降りた人が作ったスペースに、

これでもかと乗る人がなだれ込む。

 

 

もう乗れないだろって状態のところへ、

タックルのように乗り込んだおっさんがいた。

そして、そのタックルを思い切りくらったおっさんがいた。

 

あまりの勢いに、カチンときたのか、

タックルをくらったおっさんは、

相手をつかんでホームへ投げた。

 

くびねっこを掴んで、

柔道でいうとこの大外刈りをきめていた。

 

 

ケンカである。

 

 

『帰りたくて、家』が脳内に流れてくる。

ぼくのプレイリストにそんな曲はないけど、もう何度目のリピートだろうか。

 

 

とっくみあいの二人をホームにのこして、

満員の電車はゆっくりと出発をした。

 

 

 

改札へ向かうぼくの横を、

猛ダッシュで駅員さんがすれ違っていく。

 

 

駅員さんだって、

はやく家に帰りたいんやろなぁとか思ったりする。

 

人間は、すごく単純なことで怒っていると仮定すると、

おバカに見えてくるから面白い。

 

これからは駅でキレているおっさんは、

ホームシックであると定義づけしてみてください。

『帰りたくて、家』が聴こえてきますよ。

 

 

Ca va ?

 

文学部の大学生だった。

特に、やりたいことが明確にあったわけではなく、

なんとなく本を読んだりするのが好きだから選んだ。

 

 

社会学を専攻していたので、

フジロックの映像を眺める授業があったり、

ディアハンターというロバー・デニーロ主演の名作を、

息をのみながら鑑賞する授業があったりした。

 

テストは基本的に論述だけど、

世の中の事象を、

その授業なりの解釈で書けばよくて簡単だった。

 

 

そんな大学生活で、いちばん苦労したのは第二外国語の授業だった。

 

 

ぼくの大学で第二外国語は、4つ選択肢があった。

 

韓国、中国、ドイツ、フランス

この4か国の中から学生は選択して、2年間ぐらい授業を受ける。

 

 

どうしよう、どれも勉強したくない。

英語はちょっとだけ喋れるようになりたいけど、

そのちょっとだけ喋れるようになれるまでに、

ほかの言語を勉強する余裕があるわけがない。

 

 

ともだちと色々相談して、

いちばん単位取得がかんたんなものを選ぶことにした。

 

希望順位を提出させられるということは、

希望どうりにいかない人も出るということ。

 

 

韓国 中国 ドイツ フランス

 

この順番で提出をした。

ドイツ語とフランス語は、

男性名詞、女性名詞とかがあって非常にややこしいと聞いたからだ。

 

 

勉強したくない科目なんだから、

簡単に取得できるものに限る。

 

希望理由は、用紙にみっちり書いた。

なぜ韓国語を学びたいのか、そこで学んだことをどう活かすのか。

けっこうな時間を割いて、書いたのを覚えている。

 

 

 

 

そして、数日後。

 

ぼくは、フランス語の教室にひとりで座っていた。

フランス語で自己紹介を、ぼっちでしていた。

 

仕方ない、ぼくの書いた希望理由がダメだったのだ。

ともだちは、白紙で出したのに韓国語のクラスにいた。

 

文句は言いたくない。

ぼくに運がなかったのだから仕方ない。

そんな気持ちで、ひとり座っていた。

 

ただひとつ、たったひとつ。

どうしても消化しきれていないことがある。

 

 

 

それは何かって、

 

 

ぼくが受講していたフランス語の先生が、

なんでか分からないけど、

韓国の人だったということなんですよね。



複雑な心境だった。


学びたい言語を、教えてくれるはずの先生がぼくにフランス語を教えている。


 

複雑に入りくんでて、

男性名詞、女性名詞どころじゃない心持でした。

 

 

 

 

Ca va ?


 

みなさんお元気ですか?


それでは、いい休日を。


唯一、覚えてるフランス語でした。

ミルクココアが飲みたくて。

 

「うぅ~」

 

トイレで、ぼくは死にそうな声をもらした。

 

 

会社に行くまでに、乗り換えが何度かあって、

そのたびに改札を出たり、階段を降りたり、人と肩がぶつかったりしている。

 

朝起きて、もうれつに喉が渇いている時は、お茶をがぶ飲みするが、

そうじゃないときは歯を磨いておわり。

 

なにも飲まずに家を出るから、

途中で何かを飲みたくなって自動販売機を利用する。

 

 

健康診断をうけ、先生に注意を受けてから、

特保のお茶を買うように意識しているが、

どうしても冷たいミルクココアが飲みたい朝だった。

 

コカコーラの自販機には、ない。

アサヒの自販機にも、ない。

 

 

「あぁ、いっそのことミロでもいい!」

って思ったけどミロはもっと見つからない。

 

コンビニじゃだめなんだ。

キンキンに冷えたミルクココアを飲み干したいんだ。

 

 

喉の渇きとは違う。

たぶんぼくは今、ココアゾンビだ。

出勤前のココアゾンビ。

 

 

 

いつもの駅の端の端。

なんのメーカーの自販機か分からないところに、

ミルクココアをみつけた。

 

 

なんとも、絶妙な茶色のパッケージの缶。

飲みたかったものが、そこにはあった。

 

 

ぼくが本当のゾンビなら、

自販機を押し倒して中身をとりだし、

おなかがたぷたぷになるまで飲み干すのだが。

 

あいにく、ココアゾンビである前に、

いっぱしのサラリーマンなのだから仕方ない。

 

財布から500円玉を取り出して、

130円の1本をいただくことにする。

 

 

投入

 

 

・・・あれ・・・ボタンが光らない。

 

 

購入の権利を行使するためにある、自販機のボタンが光らない。

その代わり、10円と書かれたランプが光っている。

 

悲劇だ。10円のお釣りが切れている。

10円のお釣りが無いということは、

ぼくの500円ではミルクココアが買えないのだ。

 

 

「金ならある、ココアをくれ!」

 

祈るような思いで、再度お金を投入するも同じこと。

ぼくの財布には、1000円札と500円玉と、あと1円が数枚しかない。

 

 

買えない。

 

ミルクココアが買えない。

 

目の前にあるのに買えない。

 

お金があるのに買えない。

 

 

「いっそ、値上げしてくれ!150円にしてくれ!」

 

あの時のぼくは、ココアの相場を変えてしまうぐらいの思想を持っていた。

それぐらい、目の真にある茶色のパッケージは輝いて見えたのだ。

 

どんなにあがいても、ココアは出てこない。

 

後ろ髪を引かれる思い(最近髪を切った)で、会社へ向かう。

その日は、もう、頭のなかは悔しさでいっぱいだった。

30円を持ち合わせていない自分に悔しさを感じながら、特保のお茶を飲んだ。

 

 

 

帰り道。

ぼくは、朝とおなじ自販機の前にいた。

 

 

光っている。

10円のランプが光っている。

 

なんということだ、12時間労働の間に、

お釣りは一切チャージされていないという。

 

 

業者のお兄ちゃんよ、頼むよ。

ぼくにミルクココアを飲ませてくれよ。

お願いよ。

 

その日は、結局、いっさいミルクもココアも喉を通らなかった。

特保のお茶は、しっかり通った。

 

 

 

お風呂に入りながら考えていた。

 

 

半日経って、10円のお釣りが切れたままということは…、

つまりその間に、誰一人その自販機で飲み物を買っていないということじゃないか。

 

 

とんでもなく、不人気な自販機なんじゃないだろうか。

 

それとも、ぼくのように志半ばで会社へ向かったゾンビがたくさんいたんだろうか。

どっちなんだろう。

 

 

 

そして、今日の朝、

ぼくは財布に1000円札と3枚の十円を入れて、

満を持していつもの自販機に挑んだのです。

 

 

 

 

それでも、

 

それでも、

 

10円のランプは光っていました。

 

 

あんなに飲みたかったキンキンに冷えたミルクココアは、

とうぜん、キンキンに冷えたミルクココアでしたが、

なんだか複雑な気分でぼくは生き返りました。

 

 

そして、お腹をひやして、

トイレに駆け込んだのです。

 

 

「うぅ~」


冷えすぎや。

 


昨日から、今朝までの話です。

 

5人乗りのちいさな社会。

 

 

先日、エレベーターに乗っていたら、

緩衝材のパネルにこんな絵が描いてあった。

 

 

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おっきな、ドラゴンボールベジータだ。

 

 

低レベルな下ネタが、やまもりに落書きされたパネルに、

でかでかと書かれたベジータは、

せまいエレベーターでかなりの迫力を見せつけている。

 

 

そして、まわりにはたくさんの、

うまい! すげえ! といったコメントが書き込まれている。

 

 

きっと、「うんこ」とか書いていた少年たちが、

そのベジータを見て率直な感想を書いたんだと思う。

 

 

この狭いエレベータのなかに、

何人もの少年たちがいて、

実際に目をあわせることなく会話をしている。

 

 

すごく居心地のいい空間だった。

 

 

何日かに一回、

お客様の家へいくときに乗り込むのが楽しみでしかたない。

 

その絵に対する、コメントが増えていたりするからだ。

 

 

インターネットで何かを発信したいぼくの気持ちは、

きっとここにベジータを描きたい気持ちに似ている。

 

 

何かを誰かにみてほしくて、

ちょっとだけ評価もしてほしくて、

できたら「いいね!」と言ってもらいたくて。

 

どうや!って気持ちで書いているけど、

本当は誰も見ないかもしれないことに怯えていたりする。

 

 

「誰にも見てもらえなくたっていい、自分が楽しければそれでいい」

 

そんなことを言いたくなるけど、

たぶん、それを言ったら嘘になる。

 

 

「好きなことをして、誰かにみてもらいたい」

 

 

それを自由に何度だって、

やりたいだけトライできるのがインターネットのいいとこなんじゃなかろうか。

 

エレベーターで、誰かがその絵を見ているように、

このブログも誰かが見てくれている。

 

 

もちろん、そんな中身がないから、

有名な人が書く文章にはとうてい及ばない。

 

 

一日に10人ぐらいが、ぼくの日記をチラ見して行って下さる。

それでも、たまにコメントをもらったりすると、すごく嬉しい。

嬉しくて、小躍りできるぐらいだ。しないけど。

 

 

 

昨日、いつものようにエレベーターに乗り込んだ。

 

パネルは貼りかえられていて、

ベジータはどこかへ消えてしまったみたいだ。

 

そして、

 

 

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そこには、でっかい孫悟空がいた。

スーパーサイヤ人3の孫悟空だ。

 

 

ひとりの少年が開墾した、

エレベーターにドラゴンボールの絵を書くという畑に、

べつの少年が乗りこんできたみたいだ。

 

 

だが、そこに前回あったような勢いはない。

 

うまい! すごい! の言葉は書き込まれず、

完全にスルーされてしまっている。

 

 

 

 

「あ、これはぼくだ」

 

 

 

 

ぼくには、ここに孫悟空を書いた少年の気持ちがすごく分かった。

 

どういう気持ちでここに書いたか、

どんな気持ちで反応を待っていて、

毎日ずーっと過ごしているかが痛いほどに分かる。

 

分かりすぎる。

 

 

きっと、誰かに何かを発信したくて、見てもらいたくて仕方なかったんだ。

 

ベジータに贈られたコメントを、

自分もほしくてほしくて、

なにを書いたらいいか分からなくて、

結局、孫悟空を書いたに違いない。

 

 

毎日、学校から帰ってきて、

友だちの家に遊びにいくときや、

塾帰りにそのエレベーターに乗るのをすごく楽しみにしているはずだ。

 

 

一向に増えないコメントに、

じぶんの書いた孫悟空を見るのが恥ずかしかったりしてないだろうか。

 

 

同情でもなく、うまいと思ったし、何かを発信したい気持ちがよく分かって、

「いいね!」と書き込みたい気分になった。

 

 

でも、そうだ。そうなんだ。

きっと、エレベーターに孫悟空を書きこんでちゃダメなんだ。

 

 

誰かが開墾した畑で、

おなじように反応がほしくて、

何かをやっても仕方ない。

 

その思惑は悲しいかな、5人乗りのちいさな社会でも伝わってしまう。

 

 

誰かが、きっとどこかで見ている。

 

たくさん読んでほしいとか、

たくさん広まってほしいとか、

そこを目的にしちゃいけないはず。

 

何を伝えたくて書いているかだけを考えないといけない気がした。

 

ざんねんだけど、

ベジータの時に感じた勢いが、

孫悟空にはなかった。

 

 

身が引き締まる思いだ。

 

どうすれば、たくさんの人に読んでもらえるかじゃなくて。

どうすれば、たくさんの人に自分の思ったことを伝えられるかを考えなきゃ。

 

 

今日、ここで書いていることも、

「はぁ?何を言ってるんだ」

って思われるかもしれないし、

 

そもそも、ほとんどの人の目にとまることなく、

眠ってしまうかもしれない。

 

それはそれで仕方ない。

 

 

だけどきっと、誰かが見ていると思うのです。

 

 

レビューを書いたり、

ランキングを作ったりすると、

ブログの閲覧数が上がるのかって考えたこともある。

 

でも、そんな簡単なものじゃない。

 

その記事に込められた熱量は、

ぼくがどうしても書きたかった5人乗りの社会についての話とおなじ。

 

本当に大好きなものを紹介したいと思っている熱がこもっている。

 

だからこそ、人の心を動かしているに違いない。

そりゃ、かなわない。

 

 

だから、孫悟空を書くより、

もし、

あなたが俳句が好きならそれを、

なぞなぞが好きならそれを、

書いたほうがずっといいんだろうって思った。

 

 

エスカレーターやら、エレベーターやら、

駅の待合室やら、海辺のベンチやら。

 

 

なんだろうなぁ、

ちいさい社会を見るのが好きなんだろうなぁ。



 

 

 

孫悟空の少年の、

次回作が気になるなぁ。

 

壁をこえてほしいなぁと、

ぼんやりと考えていました。

 

 

 

あ、もし、

ベジータを書いた少年と同一人物やったらどうしようか。

 

うーむむ。

 

 

 

それはそれで、

社会は厳しいってことやなぁ。

 

 

どんなにデビュー作が売れた歌手でも、

2曲目も売れるかって言われたら、

それはそれで難しいもんなぁ。

 

P.S. ぼくも、転職サイトに登録しました。

 

銀行の内定が出るのは、異常なほどに早い。

 

どれくらい早いかって、

ぼくが就職活動をしていたときは4月が面接解禁で、

1日から3日間つづけて面接をして内定をとった知人もいる。

 

ぼくは、内定辞退した人の空枠にすべりこんだので、

採用通知は10月にもらった。

 

周りの同期が、銀行員になることを決めた6か月後に、

ようやく内定をもらったことになる。

 

 

だから、はじめて研修に行ったときには、

みんなはすごく仲良くて、

「誰やこいつ」って感じの目でみられている気がした。

 

友だちは当然いない。

 

そもそも、やりたいことじゃないから、

どうしてこんなに周りがキラキラと研修を受けているのかも分からない。

 

休憩時間は、ひたすらに本を読んでいたことを覚えている。

 

 

お泊り研修とかもあったけど、

もう本当にはやくはやく家に帰りたくてしかたなかった。

 

 

同期は大切にしたほうがいいよ

と上司はぼくに言う。

 

きっと、入社当時のぼくなら、

「は?ともだちがいないんだよ、こっちは」

と叫んでしまうほどの心持ちだった気がする。

 

 

3回目の研修ぐらいで、

とつぜん声をかけられて、

「あっ!人違いやったごめん!」

と言われて立ち去られたこともあったんだから仕方ない。

 

 

だけど、

いまは確かに同期は大切だと思う。

 

正しく言うと、

気をつかわなくていい同期は大切だと思う。

 

なんて書きながら、

同期の子と飲みにいってしっぽり仕事の話をするなんてことをしたことが無い。

 

仕事の話をするのが嫌で嫌で、もうどうしようもないのだ。

 

んなことで、

研修の休み時間は本を読んでるし、

みんながお札を数えている時間に、

コピーライター養成講座のキャッチコピーを書いていた。

 

 

朝のスピーチみたいなのが、何日かに一回まわってきたりした。

 

 

ブログに書いてるような、

どうでもいいようなつぶやきを喋るようにして、

なんとなくそれはそれで楽しんでいた。

 

たしか、

配属が憂鬱すぎて上司に怒られる夢をみたことを、

けっこうな偉い人がいた場所で話した気がする。

 

 

 

なのに、

 

そんなぼくに、

声をかけてくれる人が何人かいた。

 

ありがたい。

ありがたいのに、すぐにひとりになりたくて、本を読む。

でも、心の中ではすごく嬉しかった。

だからと言って、仕事の愚痴を吐くことはしたくもないけど。

 

 

その結果、ぼくは相手の話を聞かせてもらう立場になった。

 

 

支店に配属されてからも、

何回も研修があったから、

何回も休憩があって、

そのたびに本を読んで、

ともだちの愚痴をきいた。

 

 

 

キラキラしていた同期の目が、

どんどん曇っていく姿は、

あまり見たくなかった。

 

ぼくは、もとから曇っていたから、

ぎゃくに追いこされたようで悔しい気持ちもあった。

でも、それ以上に、

入社して頑張ろうと意気込んでいた光みたいなのが、

どんどん消えていくのを見ているのは寂しさがあった。

 

 

きっと、みんなは最初に仕事の話をしすぎたんじゃないだろうか。

 

ひとりで本を読んでいるぼくに、

ボソッと「しんどいなぁ」とこぼす人がいた。

 

 

「そりゃ、くそダルいもんやって仕事なんてさ」

 

はげますことなんて、

ぼくにはできないから、

ひたすら話を聞いた。

 

どんなに話を聞いても最後は、

 

「そりゃ、くそダルいもんやって仕事なんてさ」

で終わった。

 

 

気づいたら、夢の話をしたりしてた。

 

どんなことを将来したいって思っているのか。

もちろん、銀行でじゃなくて、

もっと大きな世界での話をした。

 

 

ぼくは、やりたいことが決まっていた。

コピーライターになりたいから講座にも通っていたし、

コンペにも応募しないといけないから銀行のことなんて考えている暇がない。

 

 

でも、今の仕事がすべてでやってきた同期は、

目の前にあるしんどさこそが全て。

 

そこから、どうやって逃げたらいいかが分からなかったみたいだった。

 

 

研修にいくたびに、

何人かの子とそんな話をしていた。

 

その子がいない間は、本を読んでいた。

 

 

 

毎月、社内報がまわってくる。

その最後の頁のすみに、

退職者のリストが出ている。

 

 

知っている名前が出てくる。

 

知っているだけの名前が出てくると、

あぁ辞めたんだぁって思って終わり。

 

だけど、

夢を知っている名前が出てくると、

どうしようもなく寂しい気持ちになる。

 

 

研修の時に、

どうしようもなく陰気なぼくに話しかけてくれた同期の子が、

悩んで悩んで選んだ道を、

ぼくは応援しないといけないはず。

 

 

連絡先さえ交換していないのに、

その人の夢を知っていたりするわけで。

そうなると、もう二度と会うことのない別れでもあって。

 

 

あと、

 

「先を、越しやがって」

と、悔しい気持ちがあったりするわけです。

 

 

 

一生懸命すすめすすめ。

 

 

ムリに連絡先を探したりしなくて、

道で出くわしたりしないかなって思ったりして。

 

 

ただひとつ、

曇ってしまった2つの目玉が、

きもちよく晴れわたるような道。

 

その道を、進んでいることを祈るばかりなのです。

 

 

 

 

あっ、どうしよう。

ぼくが、すごく仕事してない人みたいに聞こえるな。

 

ま、事実だから仕方ない。

 

 

「そりゃ、くそダルいもんやって仕事なんてさ」

 

 

 

 

明日は、金曜日。

がんばるぞ、がんばるぞ!

できないノルマを撫でるのだ。

 

 

 

 

P.S. ぼくも、転職サイトに登録しました。

 

 

達者でね。

おしょうゆ

 

こいくち醤油と、ともだちだ。

 

見てくれすこし怖いけど、

ほんとは、気遣いさん。

 

その場の雰囲気をじんわりとまとめる。

わがまま言ったら、聞いてくれる。

ぼくにあわせて、いてくれる。

 

 

 

うすくち醤油と、ともだちだ。

 

あっさりしてて、心地いい。

一緒にいるのに、何も考えずボーっとしてるの。

 

だけど、ほんとはすっごく熱い。

夜ふかく、ふかくなったら、

彼の味わいが、熱量が染み込んでくる。

 

 

 

だし醤油なんか、しんゆうだ。

 

つつまれてたい、浸されたい。

 

彼がいたら、他になにもいらないの。

どんな奴が来たって、

いつもすることはひとつだけ。かけるだけ。

 

どこにいたって、隠れてたって、

だしが、いるってすぐ分かる。

 

連絡したらさ、

気づけば会ってるしんゆうなんだ。

どこに行っても、

いつもたのしいしんゆうなんだ。

 

 

塩分のとりすぎ注意して、

たまには、孤独にがんばるよ。

 

ご褒美なんていらないさ、

そこにしょうゆがいてくれたら。

 

 

砂糖も呼んでさ、あぁ、佐藤。

温泉行こう、銭湯も。

浸かってたいんだ、ぼくは大根。

 

 

 

エスカレーター横のおじさん

 

おじさんをさがしていた。

この数日、どこかへいったおじさんがいた。

 

毎朝、おなじ電車に乗る。

いつもの場所で日経新聞をひろげるおばさんや、

ちぢこまりながら文芸春秋を読むお父さん。

いつものメンバーがいる。

どこの駅で降りるのか分かっているから、

壁沿いを確保している文芸春秋のお父さんの前にぼくは立つ。

お父さんが降りる瞬間に生まれるスペースにすべりこむ。

 

言うならば、

テトリスの長い棒がピッタリはまるような感覚なんです。

 

待ってましたと言わんばかりに体が動いた瞬間、

あぁ今日もなんとか一日がはじまったなぁと実感する。

 

 

ちなみに、探していたのは、文芸春秋のお父さんではありません。

エスカレーター横のおじさんです。

 

職場の最寄駅について、

くだりのエスカレーターへ向かう。

角を右にまがったとろに、そのおじさんはいる。

 

毎日、そこでおじさんは、

バンを置いて、ジャケットを脱いでエスカレーターに乗る。

 

それだけ。

それだけなんですけど、

毎日絶対、そのおじさんはそこにいる。

 

たぶん、おなじ電車で、

ぼくよりもエスカレーターに近い車両に乗っているから、

いつもそこにいるんだと思う。

 

あさねぼうした日は、おじさんはいない。

ぼくが一本遅い電車に乗ったから。

すこしだけ期待して、角を曲がるけど当然いない。

 

サラリーマンのプロは、あさねぼうなんてしないんだろう。

 

で、次の日、ちゃんといつもの電車に乗れると、

おじさんはジャケットを脱いでいる。

 

「あ、日常だ」

と思いながら、エスカレーターを下る。

 

なのに、そのおじさんがいない。

エスカレーター横のおじさんがいなくなった。

 

毎日、文芸春秋のお父さんからゆずってもらった壁際にはりついて、

いつも通りに駅の角を曲がっているのに。

どうしてだろう。日常がちょっとだけ変わってしまった。

 

なにがあったんだろうか。

 

・転勤

・転職

・退職

・引っ越し

 

生活がかわったんだろうなぁ。

おじさんにとっても、すごく大きな変化だっただろう。

 

5月になって、辞令が出ることだってあるだろうし、

もしかしたら退職するぐらいの年齢だったのかもしれん。

すこしふくよかな人だったから、体調を崩したのかなぁ。

 

寝坊せず、まったくおなじルートで通勤しているが、

おじさんを見つけられないもどかしさ。

 

一度も話をしたこともなく、

ジャケットを脱いでいる姿しか見たことがない。

ぼくの人生を大きく変えてくれるようなことは、

ほんとに、みじんもない人なんだろうけど、

どこかぽっかり穴があいた寂しさ。

 

エスカレーター横のおじさんがいないことが、日常になったんだねぇ。

 

 

金曜日

 

 

いつもの電車に乗った。

すこしだけ、いつもより出口に近くの車両へ。

 

あぁ、しんどいなぁとため息。

 

角を曲がって、エスカレーターを降りるために列へならぶ。

 

もう一度、ため息が出そうな間があって、

ボーっと何も考えずに歩いていたら、

 

おじさんを見つけた。

あれは、まぎれもなく、エスカレーター横のおじさんだ。

 

どうしてだ、どうしてそこにいるんだ。

あなたは、いまの時間、あの場所でジャケットを脱いでいるはずなのに。

 

 

 

 

そうか、

 

なんだ、

 

そんなことか、

 

もう、クールビズの季節なんだ。

 

ジャケットを着なくていいから、

脱ぐ必要がないんやね。



 

だれかの日常は、

ほかのだれかが生きる世界でもあるんだな。

 


ホッとしながら、

新しい日常をすすむ、すすむ。

 

 

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あ、

バン屋のおじさんは、

荷物が多いね。

回転日記

 

こんばんわ。

今宵も、回っていますか。

 

最近、思うことがありまして、それは何かっていうとですね。

人は“回転”が好きだなぁってことなんです。

 

なんで、こんなことを思ったのかって、

回転寿司が、ほんと大好きなんです。

 

回っているんです。お寿司が。

くるくると、レーンに乗って。

 

もちろん、友達と行って食べているから楽しいのかもしれないのですけど。

それだけじゃない気がするんです。

次から次へと、お寿司のパレード。

 

はっと、顔を上げると、光りかがやく大名行列

ワクワクしてきてたまらない。

 

ほかには、どんな回転があるだろ。

そうだ。お好み焼きだ。

あの、くるりと回転する瞬間が楽しい。

 

メリーゴーランドとかも、やっぱり乗ってみたら楽しい。

どの馬に乗るか必死に選んで、

あとはひたすらグルグル回る。

それだけなんだけど、ボーっと馬にゆられるのがいい。

 

回転木馬というミュージカルがあるけど、

観る前から何か面白いことが起きそうな予感がしてくる。

回転焼きというおやつがあるけど、

食べる前から何か面白いことが起きるに決まっている。

 

 

縦にくるりと回るというのは、

どことなくトリッキーな動きだ。

横にぐるぐる回るのは、

電車ごっこのような永遠に眺めることのできるパレードだ。

 

 

 

 

『世の中を、回転させる』

 

 

って肩書を、背負うのはどうだろう。

なんとなく、中間管理職のような気がして面白くない。

 

 

『世の中を、縦回転させる』

 

 

ちょっとだけ、何かをしでかしそうな気がしないですか。

しないかなぁ。

 

 

『世の中を、横回転させる』

  

どうしよう、今日の終わりかたが見つからない。

 

 

 

そういえば、ぼくは回転寿司が大好きで。

あの光かがやくパレードを眺めるのが・・・・

 

 

話も、一回転させてみようと思いましたが、

意味もないのでやめておきます。

 

 

 

なにかが起こりそうな予感がするでしょ?

 

なにもないんですけどね。



まわる、まわるよ、時代はまわる。

ゴールデンウィークが、金メッキだとしても。

 

朝起きるのが、本当につらい。

いまも、変わらない悩みです。

就職して3年目のゴールデンウィークを迎えました。

 

朝早くに起きなくていい日は、

はやくに目が覚める。

これがまた、納得いかない。

 

就職して1ヶ月、ぼくは何をしていたんだろうか。

メモをみかえした。

 

 

 

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ビラ配りをしていたら、

チラシ業者様いつもありがとうございます。

チラシを入れるならポストの使用料金10円を投函してください。

 

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そうだ、いまの支店に配属されてすぐ、

ぼくは毎日ひたすらポスティングをしていたんだ。

その時に見つけた、ある団地のポストに書かれていた言葉をメモしたんだった。

 

銀行員として、ピンポンを押したり、チラシを投函したり、

こんなことを毎日している。

入行してから今も変わらない。

 

いまもずっと、

何をしてるんだろうと思いながら、

虚しくなったりしている。

 

猫が支店の裏口にうんこをしたときに片付けたし、

蜂がブンブン飛び回ってるときに退治したのも1年目のぼくだ。

それで給料をもらって、好きなものを買って、好きな音楽を聴いている。

 

綺麗ごとを言いたくなる。

 

希望がなくなると、前がみえなくなるからだ。

 

だから、本当だったら、

いまのぼくがお客様と接したことのなかで、

お客様の人生に手助けできたことを書いて、

この仕事も案外悪くないというセリフで〆るのがいいのだろう。

 

 

でも、ちゃうんだよ。

そうじゃないんだ。

 

 

 

好きなことでお金を稼いで、

好きな本を読んで、

好きな音楽を聴いていたいんだ。

 

好きなことからはじめたいんだ。

 

 

心底嫌だなぁって思いながら稼いだお金で、

好きなものを買うことにすごく違和感がある。

 

 

もっと、向き合いたい。

好きなものと、向き合いたい。

 

買われる側からしたら、知ったこっちゃないだろう。

あんたがどんな経緯でお金を稼いで消費をしようが関係ないと思ってるだろう。

 

 

でも、なんとなく、

後ろめたさを感じながら、

人と会ってもご飯を食べているし、

酎ハイを飲んでいるし、

温泉に浸かっている。

 

贅沢な悩みなのかもしれない。

 

 

盗んだお金以外で、

後ろめたさを感じず好きなものを買えている人を、

ぼくはすごく尊敬する。

そして、うらやましい。

 

仕事としっかり向き合えている人なんだと思う。

 

ぼくはどこか、ななめを向いて、

興味ないけどって態度を仕事に対してしている。

 

 

一生懸命稼いだお金で飲むビールがうまい

 

本当にあると思う。

 

一生懸命稼いだお金で聴けた音楽が最高だ

 

これも絶対にある。

 

 

 

初任給、みなさんは何を買いましたか。

どんな、好きなものにお金を使ったんだろう。

好きな人に、お金を使った人もいるだろうなぁ

 

どうでしょう。

 

ちょっと後ろめたさを感じた人もいたりしないのかな。

本音を書くと、やっぱりいると思うんです。

 

 

 

周りの同期が、両親にプレゼントを買っているときに、

自分は何となく買いたくないと思っている人がいたりしないのかな。

 

ぼくは、そうだった。

 

両親に感謝をしているのだけど、

こんな気持ちで稼いだお金で何を渡したらいいか分からなかった。

 

だけど、何もないのは失礼だと思って、

すごく適当に選んだお箸のセットを渡した。

 

渡すのも、実家の机にポンっと置いて、それで終わり。

 

 

 

 

いつか、初任給で家族をごはんに連れて行ってあげたい。

堂々と、顔をみて喋りたい。

 

 

ぼくの初任給は、いったい、いつになるのだろうか。

 

そんなことを考えながら、転職への準備をしているのだが、

いやはや、好きなことで生きていくのは難しい。

自分が大人になるほうがずっと簡単なんだろう。

 

 

もし、どこかに、

ぼくと同じような人がいたら、

いっしょに初任給を探してみたりしませんか。

 

 

ちなみに、

メモをしていたポストには、

10円もチラシも投函することはしませんでした。

 

どうだろう。

 

定期預金してくれるなら入れてたかなぁ。

 

いや、してへんなぁ。

 

ゴールデンウィークが終わりに向かっている。

黄金のメッキがはがれてきている絶望感に、

くらい話をするのは逆にありなんちゃうかと思ったのです。

 

 

ちなみに、もう1つぼくがその日にメモしていたことを書いておきます。

 

 

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キャッチフレーズが、

「まっすぐ!」

と書かれた市会議員のメガネのフレームが、

絶妙なほど楕円形だった。

 

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本当は、どうでもいいことで、人をしあわせにしたいんですが、

 

まだまだ着眼点が、あまいみたいです。

 

 

 

ゴールデンウィーク

 

 

時間は止まらない。

 

 

どうせ剥がれる金メッキ。

残りの3日間、

しっかり剥がしまくって

いっぱい楽しんでいきましょうね。

 

そうしなきゃ、損だ。損だね。

 

 

 

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先日撮った写真。

タイトルは

「かかと落とし」

です。

 

 よい、一日を。