花火大会って、なんの大会でっしゃろう。
夏は何を楽しむものなんだろう。
暑い。暑すぎる。汗はアスファルトにしたたる。
そして、数分後には蒸発して、なかったことに変わる。
誰かが言ってるような気がする。
「夏は、花火大会に行きなさい。
そして、あまり混んでいない場所に行きなさい」
気がしてるんです。
このあいだ、花火大会に行ってきました。
とある浜辺で行われたイベントで、夜の19時半ごろから花火は打ちあがるスケジュール。
19時半って遅くない?って思ったけれど、夏は太陽がサービス残業中。
それぐらいにならないと、夜は訪れないのです。
まだ空が明るい時間、会場になっている海沿いの公園に足を運ぶ。
出店がずらっと並んでおります。
なんというか、食欲をそそられる匂いがしてくる。
こりゃイカ焼きだ。絶対そうだ。
食べたいけど、その奥にもっと魅力的なものがあるぞ。
【仙台牛タン串】
もはや、串って言葉は必要ない。
お祭りである必要もない。
“仙台牛タン”という言葉と匂いだけで、まんぞく。
一本700円也。
高いぞ。高いぞ。だけど、もはや口の中は牛タンの気分。
産地偽装に厳しいこのご時世。
あの串に刺さっているのは、ぜったい仙台牛タンなのだ。多分。
金網の上で、俗にいう“温めなおし”が行われた串。
焼きたてを食べたい。もはや、焼肉に行きたい。
そんな気分にもなりましたが、これはこれでうまい。
海が見える場所で牛タンを食べる時間は、焼肉屋では味わえない。
かと言ってBBQでも、牛タン【仙台】は、なかなか無い。
700円かぁ・・・まっ満足。
すこしだけ、空がオレンジ色に変わってきた。
花火大会のメインステージ近くの公園は、人だらけ。
人口密度を意識しすぎたのか、汗がとまらない。
退散だ。
ちょいと離れた浜辺に腰かける。
ここからでも、花火が存分に楽しめることは調査済みなのである。
音楽が聴こえてくる。
たらたんたん たらたんたん
たらたんたん たららたたん
おっ、サザンだ。大好きな「真夏の果実」だ。
夕暮れの海を眺めながら、サビの頃にはもう大満足。
たくさん汗をかいたけど、来てよかった。
人はそこまで多くないし、涼しい夕方の風が吹いてきた。
牛タンのつぎは、スーパーで買ってきた680円の寿司をたべる。満足。
10貫680円は、1串700円に………やめておこう。
食べると今度は眠たくなってくる。
涼しい風に、BGM。
目を瞑っていると、もうこのまま開けたくなくなる。
花火大会に来ているのに。どうしようもない状態。
夕方の浜辺は、すばらしい居眠りスポットだ。
そうだ!
【めざまし花火大会】なんてイベントはどうだろう。
作ってみようじゃないか。
みんなで、夕方にうまいものをいっぱい食べて、
BGMを聴きながら涼しい浜辺で居眠りをする。
花火大会がはじまる時間は秘密。
しっかり眠りについたころ、大きな大きな花火の音で目を覚ますのだ。
目を開けると、満開の打ち上げ花火。
すばらしい寝起きの景色なんだと思うんです。
ざわついてきました。
今回の花火大会では、しっかり【スタート!】の合図があって、
はじまったのですけどね。
どん。
いやぁ、きれいだ。そして、音がいい。
打ち上がっている途中の光の軌道がいい。
開いたあとの余韻がいい。
うっすらと煙がみえてる。ゆっくり流れてる。
赤ちゃんが泣いている。
怖いんだろうなぁきっと。
もうちょっと成長したら、この音を楽しめるようになるんだよ。
ぼくは20年ぐらいかかったけれども。
とにもかくにも、花火が打ち上がってからは、あっという間の時間。
気づいたら、終了。
ほんと、あっという間。
終ったら帰る。当然の行動。
大量の人が駅に向かって歩き出す。
「あれ?涼しくなかったっけ?」
家に着くころには、汗だく。
だけど、なんか夏を楽しむってこういうことだろうなって思った。
花火を楽しむって、その前後も楽しむことなんだなって。
太陽のサービス残業、勤務交代の瞬間をみつめたり、
居眠りしたり、牛タン食べたり、寿司食べたり、
サザンを聴いてウルッとしたり、帰り道に汗かきながら満足感にひたったり、
家に帰ってお風呂に浸かったり。
誰かが言った言葉
「夏は、花火大会に行きなさい。
そして、あまり混んでいない場所に行きなさい」
あっ、これ、ぼくの言葉だ。
花火大会が、
みんなで居眠りする大会になれば幸せだなぁ。
目覚まし花火を楽しみたいなぁ。
また来年のお楽しみ。