やつの重みに気をつけましょうね。
金曜日のこと。
朝起きて、あぁようやく金曜だって思って、
そろそろ暖かくなってきて、
ハンカチじゃなくてハンドタオルをポケットに入れて、家を出た。
駅まで、ボーっとしながら歩く。
道沿いの桜は、なんとなく咲きそうな様子だけど、
「どうする?どうする?」って感じで、
最初に咲くつぼみを待っているような気がした。
とか、情緒的なことを考えている自分に、
どこか酔いしれていた。
気づけば駅について、電車がちょうど到着。
しかも、席があいている。
通勤電車で席があいていることなんて滅多にない。
ウキウキで座らせていただく。
さて、なにをしようかなぁ。
本を読むのもいいし、ダウンロードしたラジオ音源を聞くのもいい。
審議の結果、ラジオを選択して、両耳にイヤホンをつける。
ポケットから出てきたのは、財布と鍵と、あと
・・・・・・ハンドタオル。
あ、どうしよう。スマホを家に忘れてきた。
なんでだ。あんなに毎日朝の時間にアプリのログインボーナスを回収して、
いつものようにツイッターを開いて、
絶望のひとことをつぶやいているのに。
今日にかぎって、桜のつぼみに情緒的に思いをはせて、
スマホを持っていないことに気づかなかった。
どうしてこんなことが起きたんだろうなぁ。
もう一度、スーツのポケットにご挨拶まわりをする。
コートのポケットふたつ、
ジャケットのポケットはみっつ、
ズボンのポケットはよっつ。
計10個のポケットには、財布と鍵とハンドタオル。
と、なんかよく分からない補強のためのズボンの布きれひとつ。
せっかく席に座れたのに、ごそごそごそごそ。
横のおじさんは寝ているからよかった。
いろいろ考え、
この情報化社会にスマホを家に忘れるという大失態をした理由を決定しておいた。
いつも家を出るときは、
コートのポケットに財布。
ズボンのポケット、右に鍵、左にスマホ。
ハンカチは内ポケット。
その日は、ハンカチは内ポケットに。
スマホがいつも収まる、左ポケットにはハンドタオル。
ポケットにしまったハンドタオルは、
ちょうどいい重さでスマホのふりして鎮座していた。
だから、きっとぼくは、
あぁスマホも持ってるな。
この重さはそうだし、ポケットの膨らんでいる数も一緒だし。
って思ったんだろうね。
・・・桜のつぼみに想いを馳せていたことは、絶対関係ないはず。
・・・自分に酔いしれてたからスマホを触ろうとしなかったからじゃないはず。
みなさんも、季節の変わり目はスマホを家に忘れないよう、お気を付け下さいね。