得も損もない言葉たち。

日常をひとます、休まず。

あなたのクスッとをください。

実家から、事件の香りがしたので。

 

実家を拠点にGWを過ごしている。ふだん、こんなに長く実家にいることはない。家族は皆、予定があったりなかったりで、人の気配がしたりしなかったり。ぼくは、リビングでぼーっとしていることが多い。

 

家族の中では、いちばん、友だちが少ないということだろう。

 

しかし、そんな劣等感よりも、気になって仕方ないことがある。GWの数日間、ぼくはそのことについて、ドキドキが止まらないのだ。

 

 

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冷蔵庫を開けると、麦茶があった。

 

その時点で、あぁ、実家やなぁという感じなのだが、そこには、謎の『夏』という一文字が書かれている。

「夏といえば、麦茶!」なんてことなのかと思ったが、そんなことで書く理由になるものだろうか。

 

 

次の日、冷蔵庫を開けた。麦茶があった。

 

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そこには、『秀』と書かれていた。謎に、謎は深まるかと思いきや、ここでぼくは「あぁ、なるほど」と納得がいく。

 

つまり、これは名前の頭文字なのだ。

 

妹の名前、一文字目が『夏』。

父の名前、一文字目が『秀』。

 

 

なんだぁ、そんな簡単なことなのか。

ひらめきを喜んでいたのですが、これって家族以外には難しすぎる問題ですね。

 

だけどですね、話は終わらず、ぼくがドキドキしたのはここからなのである。

 

 

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大好きな古畑任三郎に、『偽善の報酬』という話があります。どんな事件かといいますと。

 

 

著名な脚本家の姉と、マネジメントをする妹が同居をしている。ふたりの仲は極端に悪く、ある日、姉は妹を殺害する。

 

そこへやってきた古畑任三郎。彼はすぐに犯人の目処を姉につけるが、悩ましいことは、凶器がどこにも見つからないことだった。

 

 

 

みたいなお話なのですが、切れ味自体は、そこまで高いものではないです。ただ、この回の古畑はうまく犯人にすり寄っていき、遊んでいるように見えて面白いです。

 

 

さて、なぜ古畑がこのふたりの姉妹仲が悪いと見抜いたのか。

 

 

それは、冷蔵庫を開けたときでした、

 

マヨネーズ、醤油、牛乳、お茶。何から何まで、ふたつずつ置かれていたのです。そして、それぞれに謎のアルファベットが1文字ずつ書かれている。

 

それは、姉妹のイニシャルだったのです。

家中のものを、すべて別々に使う。そこに、違和感を感じたわけです。

 

 

 

 

さて…。

 

 

我が家の麦茶にも、これと同じ現象が起きている。

 

 

 

どうしたものでしょう。「ドラマの見過ぎやで」とよく人に言うのですが、これは洒落にならない。見過ぎだとしても、いい。これは、やばい。

 

ひとりで勝手に、悩みだします。

 

そんなことはあり得ないと思いながらも、でも、ちょっと気になる。本気で悩んでるようにみえて、頭の中には古畑任三郎のテーマが流れている。

 

フィクションとノンフィクションを行ったり来たりしながら、ぼくは何度もおでこに手をやりました。

 

 

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誰もいない実家で、捜査をはじめます。

 

 

まずベランダ。

 

娘が「お父さんと一緒に洗濯をしないで!」なんて言うと聞くので、干されている洗濯物をみる。

うーむ。父のよれよれのTシャツと妹のパーカーが一緒に干されている。

 

 

次にお風呂場。

 

シャンプーはひとつ。それも中身がほとんどなくなりかけている。実家ならではの光景だ。「次に使う誰かが、補充してくれるやろ」の精神で、空っぽでも気にしないのだ。

つまり、これもまた一緒に使っている。

 

 

今度はお部屋。

 

父の部屋と、妹の部屋は向かい合わせにある。それぞれの部屋に入るような、そんな野暮なことはしないが、どちらも鍵は付いていない。なんだったら、ドアが半開きだ。

本当に見られたくなかったら、厳重にするだろう。

 

 

歯ブラシは、雑多におなじ場所にしまわれている。コップなんかも自由。

 

 

あと、倒れるだけで腹筋ワンダーコア。

 

妹が通販で買ってきたこのトレーニング器具は、先日、家の中心にどーんっと置かれたわけです。それを、父も妹も、おなじように使っている。筋トレを共有しているのだ。

 

 

 

うーーん。事件は難航します。

 

 

こうなったら、自白をしてもらうしかない。

 

古畑任三郎は時に、事件が起きる前に事件を解決します。「わたしにはお見通しです」なんて言わんばかりに、犯人に諦めを促すのです。

 

妹に聞くしかない。

 

 

「あの…ですね、なぜ、お茶に名前を書いているのでしょうか、父とは仲が悪い…?」

 

「部活やってた頃に、水筒に入れるために冷やしてたお茶を、お父さんがぜんぶ飲むから書いただけやで」

 

「うーーん、なるほど、今は?」

 

「関係なしで飲んでる」

 

 

ここで暗転。

 

 

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えぇー、今回の事件は、完全にわたしの思い違いでした。

お茶に書かれたイニシャル、父と娘の折り合いの悪さに関する通説。

 

 

 

そして何より、ぼくの「ドラマの見過ぎ」が引き起こしたありもしない事件だったのでしょう。

 

 

 

ちなみに、『偽善の報酬』で見つからない凶器は、妹さんがコツコツと貯めていた大量の小銭でした。犯人は袋にそれを詰めて、振り子の原理で頭をなぐった。

 

犯人が古畑の助手、今泉くんに銀行へ持って行かせる直前に、事件は解決されるのです。

 

 

 

「給料少ないから、ごはんおごって」

 

そういう妹に、小銭を貯める余裕もなさそうなので、凶器にするものも、どうやらないみたいでしたね。

 

 

エンディングの曲が流れてきました。

 

そろそろ一人暮らしの家へ、帰ることにします。

 

『偽善の報酬』というより、『架空の応酬』でございました。