得も損もない言葉たち。

日常を休まず進め。

あなたのクスッとをください。

サボりのプロになろうと思う。

 

「サボる」という言葉を、よく使う。ベンチに座って、ぼーっとして、ただただ時間が過ぎていくのを待つ。

 

その語源は、フランス語の「サボタージュ」という言葉がもとになっている。わざと仕事を停滞させたり、妨害する労働者の行動を指す言葉なのだが、日本で使われる「サボる」はちょっと違う。

 

おそらく、かんたんにするとこんな感じだ。

 

 

働いている人が、無理をしない程度にがんばるため、息をぬく行動。

 

 

その頻度は人それぞれだが、ベンチに座っているスーツの人間は、たいていサボっている。

 

 

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ぼくは、営業になってずいぶんサボっている。毎日、朝早くに支店を出て、最初に向かうのは海辺のベンチだ。浜風をあびながら、ぼーっとする。イヤホンをつけて好きな音楽を聴く。

 

サボるためには、仕事をしなければいけない。アポイントが無ければ、営業成績も上がらない。「仕事してる?」と上司に聞かれないようにするには、それなりに頑張っているように見せないといけない。疲れた顔をしても、しなくても、すべては成績次第なのだ。

 

 

 

サボりには四季がある。

 

 

さきほど言ったように、ぼくは毎日サボっている。春夏秋冬をサボりから感じている。たとえば、春は公園の桜をみながらサボるし、夏は涼しい喫茶店で高校野球を観る。秋には、焼き芋屋をとめる。

 

一年の移ろいを感じるため、サラリーマンのサボりには風情がある。あと、すこしだけ哀愁なんかもある。

 

よくディスカバリーチャンネルのような番組で、動物たちが自然界で生き残る術が紹介されているが、サラリーマンという生き物にもそんな知恵があるのだ。

 

 

 

「おやおや、野生のサラリーマンが寒さに凍えていますよ」

 

 

海辺の冬は、とてつもなく寒い。いつも座っているベンチも、ようしゃなく厳しい。スマホを触ろうにも、手がかじかむし、とにかく顔面が痛いのだ。

 

さて、どうするか。

 

 

暖を求めるのです。

 

 

火を起こすなんて危険な行為はしません、それだと社会で生き残れません。暖かい場所をもとめて、ゾンビのようにのそのそと動き出すのです。

 

 

ぼくは、この暖を求めるサボり方に、生き物としての本能が込められていると思います。じぶんでも、こんな暖まり方があるのかと驚くような方法で、自然とサボろうとしていることがよくあるのです。

 

 

ここで、ぼくが本能でみつけたサボり場所を紹介します。

 

 

『動物ふれあいランド』

子どもたちが、うさぎやカピバラをなでている横で、ぼくはウトウトしながらサボっています。どうしてここが特別に暖かいかというと、動物たちが体調を壊さないようにいつも温度を管理しているからです。

恒温動物の仲間たちに、暖かさを分けてもらって、サラリーマンは生きるのです。

 

顔をあげれば、動物たちの様子を眺めることができて、リラックス効果もあるんですよ。ぜひ、みなさんもお探しください。

 

 

 

『お客さんの家』

悲しいかな、お客さんの家はとても暖かい。仕事をサボりたいのに、仕事をすることで求めているものが手に入るのだ。こたつがある家に、一生懸命に営業をすることが大切です。みかんがもらえて、一石二鳥になりますよ。

 

 

 

今日、また新たなサボり場所を見つけてしまいました。

 

 

 

 

大道芸人さんの近く』

なぜ、そこなのか。理由はとてもシンプルです。

彼のパフォーマンスは、クライマックスにむけて進化していくのです。バトンに火を付けて、3本から4本のジャグリングを披露します。

 

そう火です。火なんです。

 

バトンに火をつけるために、大きな火種がそこにはあるのです。ぼくは今日、すごく自然に大道芸人さんが準備した火種で暖をとっていました。

 

その姿はきっと、とても異質だったと思います。ひょうきんなコスチュームに身をまとった大道芸人のうしろで、スーツの男が暖をとる。

 

 

 

 

ぼくは今日、世界にはまだまだ色んなサボり方があるんだろうなぁと思って、すこしだけワクワクしました。これからも、たくさんの季節感のある「サボり」を開発していこうと思います。

 

 

サボりのプロになろうと思う。

 

 

 

でも本当は、家で寝ていたかったり、サボりたくないぐらい好きな仕事をしたいんですけどね。