得も損もない言葉たち。

日常をひとます、休まず。

あなたのクスッとをください。

ぼくのなりたいおやじ 2

 

ずいぶん、昼寝をしていたみたいです。

お昼ごはんを11頃にたべて、

そこから座椅子をパタリと倒して、

目を覚ましたら晩ごはんを買いに行く時間になっていました。

 

 

スーパーをぷらぷらと歩いていると、

割引シールの貼られた海産物を見つけてカゴに放り込む。

 

 

家にかえってきて、この前ちょっと奮発して買った、

牡蠣醤油をたくさんのベビーたちにかけてみる。

おいしい。おいしすぎる。

ボイルされたベビー帆立に、牡蠣醤油の組み合わせはたまりません。

 

世界中でいちばん大好きな赤ちゃんはベビー帆立で、

世界中でいちばん大好きな若者はヤングコーンと宣言しておこうと思います。

 

 

あぁ、今日もおやじになりたくないけど、なりたいなぁ。

 

 

ぼくのなりたいおやじ

 

 

 

もずく酢が大好きで食べているのに、

薄毛対策だと家族に思われて、食卓に海藻がたくさん並びはじめる。

海へ遊びに行ったら、「お父さんの好きなものだらけやね」って、

干からびた海藻を指差され、

波にまぎれて涙を流すような哀しいおやじに、

ぼくはなりたい。

 

 

 

 

ネクタイの結び方を、ネクタイを締める仕事をしていなくたって、

息子に教える日がくることを心待ちにして練習。

ちょっと嬉しい気持ちを、たとえ親族のお葬式に参列する前だったとしても

感じられるようなおやじに、

ぼくはなりたい。

 

 

 

 

「小便小僧って、火を消すためにおしっこしてるんだよ」とか、

「ガーナの偉いさんにニャホニャホタマクローって人がいるよ」と、

息子に自慢気に言いたい。

ある日、YouTubeトリビアの泉に子供が出会ってしまうんだけど、

そんなことには気づかず、

次は何を言おうか予習しているような幸せなおやじに、

ぼくはなりたい。

 

 

 

 

いつかバック・トゥ・ザ・フューチャーを子供に観せて、

「未来を変えるには、今しかないんだよ」みたいな

かっこいいことを言おうと決めているのだが。

いざ自分が親になったら、

技術の進歩が思ったよりもはやくて、

案外簡単にタイムトラベルできるようになってしまったりして。

心底悔しがっているようなおやじに、

ぼくはなりたい。

 

 

 

 

たばこを吸わないのに、

かっこいい映画に憧れて「ココアシガレット」をかじる。

ある日、子供の学校の先生に呼び出されて、

「娘さんが、お父さんと一緒にたばこを吸ってると言ってます」と注意を受ける。

顔を真っ赤にしながらお菓子をかじってることを告白。

先生も何も言えず、無言の数分があるようなおやじに、

ぼくはなりたい。

 

 

 

 

ジェットコースターが苦手で、

子供の身長が足りないという理由でなんとか逃れてきたが、

やがて、成長していきどうにも逃げようがない日がくる。

苦しまぎれに、奥の手であるベンチで寝るを実行。

「怖いねんであれ」って家族に笑われるようなおやじに、

ぼくはなりたい。

 

 

 

 

 ペーパードライバーだから、

家族を乗せて遠出をまったくしてこない。

娘に休日どこかへ行きたいと本気でせがまれて、

泣く泣く言ったセリフが、

「大きくなって恋人に連れてってもらいなさい」で、

奥さんに「私はいつ行けるの?」と言われ、

ペーパードライバー研修に渋々通うようなおやじに。

ぼくはなりたい。

 

 

 

今日も、おやじになりたい。

 

無限に出てくるなりたいおやじ。

 

 

 

とりあえず、

 

世界中でいちばん好きな赤ちゃんはベビー帆立と宣言してたのに、

いざ自分の赤ちゃんのと対面した時に、

そんな馬鹿らしいことは完璧に忘れるようなおやじに、

ぼくはなりたい。