得も損もない言葉たち。

日常を休まず進め。

あなたのクスッとをください。

パウエルの人形は、悪友へ。

 

また明日から、月曜日がはじまります。

テレビのスイッチは消して、電気を常夜灯にする。

外はまだ明るくて、もう日曜日が終わると思っていたけど、

もうちょっと遊べるなって気づく。

 

今日は、ラジオのようにひとりごとを書こうと思う。

午前中から、人と会うために大阪へ出た。

駅へ向かう川沿いの道に、えらい沢山の人がいた。

みんなは一様にして、駅からブルーシートや、コンビニの袋をもって歩いてくる。

そうだ。花見だ。

 

 

4月にはいって、急に温かくなり、

営業をしていても汗が出るくらいになってしまった。

コートはしばらくお役目御免。

マフラーと手袋も所定の位置へおやすみいただいた。

 

 

冬が終わると、みんな、春がやってきたことをよろこぶ。

ブルーシートをひいて、食べ物を囲んで、なにやら楽しそうにお話をする。

集まる理由は、「きれいな桜を見るため」なんですよねぇ。

本当にそうなんか?って団体も多数いるけど、

「きれいな桜を見るため」に男女で、家族でワイワイしてるんです。

 

 

休日をたのしく過ごすために、理由なんてどうでもよくて、

ただみんなが集まればそれだけで楽しい。

大学生のときに誰かの誕生日があるたび、

なにかムービーを作ったり、イベントを企画したりしていた。

今思うと、その人を祝福するためを通り越して、

みんなが楽しめるきっかけが誰かの誕生日だっただけなのである。

 

 

先輩の誕生日会は、大学の講堂を貸し切って行った。

『Kさん生誕祭』

と大々的に銘打って、芸能人さながらの大風呂敷をひろげて、

生誕祭実行委員なんかも決めてしまった。

ぼくもその一人として、いろいろ企画を考えたりしてたんです。

そして、Kさんもその一員として、何か面白いことができないか考えたり、

幼少時の写真をムービーのために提供したりしてくれたり。

もはや、誰がお祝いされるのか分からないようなことになっていて、

架空の誰かを祝うために企画を考えているかのような時間になっていた。

 

もちろん、サプライズも用意したのだけれど。

ケーキだってあるし、立食パーティーだって用意した。

 

まったくイケイケの学生団体ではなかったけれど、

先輩の人柄のおかげか、

一般人の普通の大学生の誕生日会とは思えないぐらいの人が集まった。

他大学の先輩後輩までやってきて、みんながプレゼントを持ってやってきた。

 

 

ぼくは、1つのゲームコーナーを担当していて。

それは、Kさんビンゴという企画だったかなぁ。

ルールは、9マスの白紙のビンゴ用紙に、Kさんの良いところを書いてもらう。

そして、本人が順番に自分の良いところを言っていきビンゴをする。

 

人がとても良い先輩だから、真ん中のフリースペースは、「やさしい」にした。

それぞれの人がKさんのことを考えてマスをうめていく。

大穴にかけて、「イケメン」と書く仲良しの人がいたり、

意外にそうだった、「足が長い」を角のマスにうめる人がいたりした。

 

 

自分で、自分のいいところを言っていく、

地獄のビンゴが幕をあける。

一つ目は当然、「やさしい」が来るであろう。

だが、フリースペースにしてしまっているのだ。逃げ場はない。

これは僕からしたら、最大のプレゼントなのだ。

共通認識で、「やさしい」って思われているってことなのだ。

嫌がらせなんかでは決してない。ないですよ。うん。

 

そして、本題。

二つ目、先輩から飛び出した言葉は、

しばらく考える時間があっての、

 

 

「足が長い」であった。

 

 

「ふたつめで外見ってどうやねん!」

って野次が飛ぶ。

しかし、その裏で、ひそかにリーチをかけている人もいる。

Kさんのことをどう思っているかよりも、

どんなことを言うだろうか考えた人が勝つゲームだった。

 

今思えば、さっきも書いたけど、

本人とっては地獄の時間だったかもしれない。

でも、みんながカードをもってワイワイしながら立食パーティをしていたのが、

すごく楽しかった。

 

 

ビンゴの商品は、もちろん、誕生日を祝われる本人に出してもらう。

家にあるもので、いらない物…じゃなくて、

フリマに出すような物を持ってきてもらっていた。

そこにサインを入れてもらう。

 

謎のソフトボールの教本や、

近鉄バッファローズの助っ人外国人パウエルのフィギュア、

テニスなんてやってないのにサイン入りテニスボール。

 

おもしろかったのが、ビンゴになって商品をもらっていったのが、

やっぱり先輩とより近い同回生の人だったこと。

ぼくは、出張何でも鑑定団のように、手袋をはめてサイン入りグッズを手渡した。

そして本人と記念撮影。

どこからどこまでも、K先輩の誕生日は、「楽しむための理由」だったなぁ。

でも、それでもやっぱり、みんなで集まってこうやって時間をすごすことは、

とてもしあわせなやって思った。

 

今でも、たまにその時の話になるけど、

やっぱり、あの誕生日会は良かったなぁって言いあっている。

確実に大切な思い出になってる。

 

 

 

桜が咲いたから、花見を企画しよう。

誕生日が近いから、誕生日会を企画しよう。

 

これらの言葉のあいだには、

(せっかくだしみんな集まれる)が隠れている。

桜を眺めたい、誕生日を祝いたいって気持ちも存分にあるけど、

理由なんてどうでもいいって気持ちもあったりする。

ただみんなで集まっている時間、それがいちばん楽しい、

そのひとつが、いま川辺で行われている「お花見」なんじゃないかなぁ。

だから、みんなボーっと桜を眺めずに、

ワイワイガヤガヤ楽しそうなんじゃないかなぁ。

 

 

 

K先輩の誕生日会の最後。

出口に本人が立って、

参加して下さった人が列をつくって、握手会が行われた。

 

 

 

女性参加者もたくさんいたので、

それはそれでぼくたちからの、

ささやかなバースデイプレゼントだったのですが。

 

 

もちろん、愛はそこに、ありましたよ。うん。

 

 

4月9日 おわり