雉はどうすれば、撃たれないのよ。【ことわ・ざ】
犬、猿、と来たらどうでしょうか。
どうでしょうか。
……雉ですよね。
犬・猿・雉というより、犬・猿・キジなんだよなぁ、
って思うんですけどどうでしょう。
雉って字を書くことって人生においてほとんどないですもんね。
じゃあ、猿って字はいつ書く機会があるんかいねって言われても、
そうだなぁ…ないなぁ…ってなります。
よくありますよね、「雉も鳴かずば撃たれまい」。
ぼくみたいな、お調子者はよくやってしまうんです。
言わなくてもいいことを、話がうまく運んでいるときにこぼしてしまう。
いい流れで肩を揺らしていたのに、たった一言で空気は固まる。
まぁ、調子良く物事が進んでいる時点で、鳴いているのかもしれないのですが、
だいたい僕たちの生活で使われる「雉も鳴かずば」はこれですよね。
あとは、何だろう。
SNSとかで、突然、社会を批判するようなことを言ったりすると、
思いもよらないところで炎上。
「あ~あ、雉も鳴かずば撃たれまい」やのになぁ。
ってのもありますね。
前者と後者の違いって、
「鳴きたい」かどうかなんだろうなぁ。
ぼくなんかは、無意識にやらかしてしまうのです。
上司と同じ年齢のタレントを、「おじさん」って言ってしまうんです。
生物の授業で「反射」を習ったけど、一瞬で言葉がかえってくるんですよ。
「同い年やねんけどもね」
そうなったら、もうあれです。
下手なフォローをしても意味が無いので、黙るのです。
昨日、ヨドバシカメラに立ち寄りました。
友だちを待っている時間に、スマホケース売り場をうろちょろしてました。
1000円ぐらいのものから、10000円もするものまで。
高級品になると、ガラスのケースに入って鍵をかけられている。
名前をつけるなら、スマホケースのケース。
で、比較的安価な商品は、そのまま、ぶらさがっている。
コンビニの飴ちゃん売り場みたいな感じですよね。
どんな触り心地なのか、自分の手に対して大きくないだろうか。
たくさんの人が、サンプルを触ってお買い物をしている。
そこに、『極』という商品があった。
大きなポップが出ていて、
どこか極かというと、「薄さ」と「丈夫さ」なのである。
他の商品よりも、そのネーミングと宣伝の大きさで、
売り場は目立っており、ぼくも引き付けられて思わす触る。
「どんなけ、薄いんだろうか。
どんなけ、丈夫なんだろうか。
極なんて名前を付けるなんて、相当なもんだぞ」
こう思うわけです。
で、期待しながらサンプルに手を伸ばしたわけすが。
なんとまぁ、すべてがバキバキに割れているのです。
様々なバリエーションの極が、もれなくバキバキです。
これは最悪。丈夫だったとしても最悪。
割った人が、握力がゴリラと同じぐらいなのかもしれないけれど。
「薄くて、丈夫です!」
ぐらいだったら、きっとこんなことになってなかっただろうな。
「薄くて、丈夫を極めました!」
と、言ってしまったから、こんな悲劇が起きたんじゃなかろうか。
よ~し、それだけ言うなら試してやるよって気持ちを起こしてしまったと思われる。
でも難しい。ある程度、攻めないと人は見向きもしてくれない。
買ってもらうためには、ネーミングで勝負しないといけなかったのだろうな。
あ~あ。
「雉も鳴かずば撃たれまい」に。
ぼくの頭に、ことわざがよぎった。
そうか、こんな時に使うんだきっと。
熊が鳴いたらみんなが逃げるけど、
雉が鳴いたら弾丸が飛んでくる。
動物園で鳴いたら観衆が喜ぶけど、
森で鳴いたら銃口を向けられる。
鳴くことはすごく難しい。
どこで鳴くか、
どうやって鳴くか、
難しいなぁほんとってヨドバシカメラで思ったわけです。
喋りのプロの人でも、失言することもあるんだろうな。
鳴かないでいいことを、鳴いてしまうんだろうなぁ。
まさに、「猿も木から落ちる」だな。
あっ、猿って字も、使うね。