得も損もない言葉たち。

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日常をひとます、休まず。

あなたのクスッとをください。

詐欺師のせいで、フリスクがよく減る。 銀行員に潜入 13マス目

 

 

 風邪をひいてしまった。

 急な気温の変化に対応しきれなかったのか、

 はたまた、お腹を出して寝てしまっていたのか。

 熱はぜんぜん無いので、どうやらインフルエンザではないようで。

 中途半端に、元気だ。

 自転車にも普通に乗れるし、階段で5階のお客様のもとへも駆け上がれる。

 

 

 しんどくなろうと思えばできるけど、そういうわけにもいかない。

 なにせ、すべて自分にかえってくるわけで。

 そう考えると、

 いつも通り仕事して、いつも通りコンビニで休むのが一番なのです。

 ただひとつ願うことがあるとすれば、緊急な事態が訪れて、

 自転車で猛ダッシュしないといけなくなることだけは

 ご勘弁ということ。

 

 ま、そういうときに限って、ぼく宛の電話は鳴り響くわけでして。

 

 

 どうやらまた詐欺師が、うろうろしているらしい。

 入行してから何度目だろうか、お客様からの問い合わせ。

 今回は、ぼくに確認のお電話を下さったので事前に防ぐことができました。

 

 

 いろんな姿の見えない詐欺師がいる。

 還付金がどうとか、警察の犯罪防止がどうとか、

 息子が会社のお金に手をつけてしまったとかそんな電話がかかってきたり。

 直接、家まで来て、通帳を預かっていく詐欺師もいれば、

 「お金がかえってきます」と言って、暗証番号を聞き出す詐欺師もいる。

 いろんな手口で、お金を奪おうとする犯罪者がいることを、

 身に染みて感じる日々です。

 

 

 特に、タチが悪いのは、やっぱりオレオレ詐欺

 何度か、だまされてしまって窓口にやってきた「親の顔」を見てきた。

 その悲しみや、焦りに満ちた顔は忘れられない。

 息子が会社のお金に手をつけた悲しみ、

 それでも、いち早く助けてあげたいという焦り。

 会社からの電話で、お子様が事故に遭ったとだまされた人もいまして。

 もはや、それは嘘だとしても傷害事件じゃないのだろうかと思ったり。

 

 詐欺を未然に防げたとしても、

 お父さんお母さんにやってくる大きなショック。

 親切心や、愛や、友情や、

 そういった大切なもので人を傷つける行為は許せぬと強く思います。

 

 

 

 たくさんのご高齢のお客様がいるので、

 ぼくは心配になって電話してまわった。

 「気をつけてくださいね」とか、

 「変な電話なかったですか」とか。

 以前に詐欺にあいかけたお客様には、すぐに電話をした。

 

 

 「こんにちは、〇〇銀行の△△です~」

 いつもの挨拶をして、本題に入ろうとしたが、

 お客様の様子がおかしい。

 話をしていても、どこかうわの空。

 聞き流されているような返事。

 一通り要件を伝えたところで、

 「ところで、あなた本当に銀行さん?いつもの人と声が違うけど」

 と、まさかの質問が。

 

 

 ・・・・。

 そうだ、ぼくは今日、鼻が完全に詰まっている。

 自分で話していても、誰だか分からないマヌケな声になっている。

 疑心暗鬼になるのも当然なくらいに別人だ。

 必死になって、お客様に分かってもらおうと話をした。

 ペットの犬の話とか、このあいだ話をした息子さんの話とか。

 話せば話すほど、だましているような感覚にちょっとだけ陥った。

 

 

 

 あの人の良いおしゃべりなお客さんが、

 すごく疑心暗鬼になっているなぁと思うと、すごく腹立たしかった。

 人を欺くという行為は、なんて卑劣な行為なのか実感した。

 信用したいけど、できないという辛さを植え付ける行為なのだなと思った。

 

 

 

 結局、電話でなが~い世間話をしたのち、

 疑いは晴れ、お客様に「いつもありがとうねぇ~」と言ってもらって電話をきる。

 

 

 

 鼻の詰まりはそのまんま。

 喉のイガイガもそのまんま。

 お薬の効果はまだ出ないみたいだ。

 それでも、つぎのお客様に電話しないと。

 机の引き出しから、フリスクのいちばんスースーするやつを取り出す。

 電話をする前に口臭を気にしてるわけじゃない。

 口の中がスースーすると、鼻の詰まりも一瞬だけスースーするのです。

 その一瞬を逃さず電話をする。

 フリスクはある意味、いつものぼくに戻るアイテムであったのです。

 

 一件に一粒食べるので、

 どんどん減っていくフリスク

 あぁ、明日は食べなくてもスースーしてたらええのになぁと思い、

 今日は、はやく眠るとします。