毎日には、自分をなぐさめたいことが、ありすぎる。
今日、ぼくは詐欺師を見る目を、向けられた。
向けられました。言われてました。
いつもお世話になっているお客様の家へ行く。
出金がしたいとのことで、現金のお届け。
お身体が不自由な方なので、ぼくが伝票を預かって出金を。
デイサービスから帰ってくる時間は、15時半。
すこし遅めに、15時40分に家へ行く。
今日は、帰ってくるのがすこし遅かったみたいで、
送り迎えのワゴンと鉢合わせ。
お宅にあがらせてもらって、お渡ししていた時に来客。
ヘルパーさんだ。
「今日も、いるんですか?」
かけられた言葉は、文章では伝わらないが、
冷たい目線と同時にぼくに届きました。
「現金のお届けだけなので!」
ヘラヘラしながら、頭をかいた。
手続きをしている数分の間に、電話が鳴る。
お客さんの取った受話器から、声がもれて聞こえてくる。
さっきのデイサービスの人だ。
・銀行員はまだいるのか。
・あの人たちが言う、うまい話には裏があるので、気をつけてください。
・あんまり、そういった人の話は聞かない方がいい。
ぼくの心は、ずたぼろでした。
もう、なんでしょう。
仕事で、泣きたくなったのは初めてでした。
職場で怒られるより、失敗するより、数字ができないより、
もっと辛い気持ち。
どうして、泣きたくなったか。
お客様のためを思ってしていることさえも、
まるで詐欺師のような目で見られているということに悲しくなったのです。
でも、デイサービスの人の気持ちも、ヘルパーさんの気持ちも、
痛いほど分かります。
自分の祖父や、知っている人が、銀行員が頻繁に来て、
運用の話をしている姿は心配になるからです。
・・・
誰かが人を想う気持ちで、
自分が傷つくという経験でした。
やりようのない悲しい気持ちを引きずって、
充電の切れた電動自転車を押して帰りました。
投資の商品を、そのお客様が買っているのは事実。
でも、ぼくは今まで、たった数ヶ月ですが、
お客様がすこしでも喜んでもらえることをやってきたつもりでした。
ただ、周りから見たら、ちゃんちゃらおかしい言い分のなのでしょう。
そうですよね。そこにはノルマという数字があっての行動だからです。
先月の末から、そのお客様に相談されていることもあって、
ぼくたちは資産のおまとめを協力しています。
車に乗せて、自分ではいけない銀行に残ってしまったお金を、
うちの口座に移す作業です。
これも、数字があってのことです。
移したお金で、投資商品を買ってもらうと、うちの支店の数字になります。
でも、お客様にとっても手の届く場所にお金がある。
喜んでもらえることだと思っています。
というか、思うしかないのです。
ぼくたちは、本音と建前で仕事をしています。
営業という仕事は、いつもその悩みとの戦いです。
大学生の時に、祖父を在宅介護をしていたぼくは、
そのお客さんの生活のお手伝いもします。
それは、職場の日記にはのこさない仕事。
銀行員の仕事では決してない仕事です。
ヘルパーさんよりも、お手伝いをしている気もします。
でも、もしも、お客さんの口座の残高が0だった時に、
ぼくは今までどおりにお手伝いをできるのだろうか。
そう思うと、自分がすこし嫌になります。
0円の仕事がしたい。
ぼくの大好きな箭内道彦さんが、本でそのようなことを書いていました。
極端な話ではありますが、ぼくもそう思っています。
報酬を貰わないと責任を放棄していることと同じだという意見もありますが。
建前を捨てたい。
大好きな広告で、本音で応援をしたい。つよく、つよく、力になりたい。
そのために、全力で走りたい。
ぼくが、広告の仕事への夢を諦めない理由が分かりました。
箭内さんが語っていたことも分かりました。
まだまだ、ここから走らないといけません。
昼は、お客様のため。
夜は、夢のため。
そして、休日は友達や家族のため。
建前じゃなく、本音で走ることを、考えました。
ただ、
ただ、
たぶん、今日は、お酒を飲んだら泣いてしまうぐらい、つらい一日でした。
今もまだ、つらく、明日もまた悲しいでしょう。
夜に書いたら、この有様でした。
おはようございます。