人には、不思議な力があるのだ。
おじさんが、今年亡くなりました。
お酒に負けてしまったおじさんでした。
死因は、心不全。
ぼくにとって、いろんな世界を教えてくれた人でした。
頭のいい人でした。
親戚の集まりでも、どこかみんなとは違う。
話すことも、ウイットに富んでいて、
どこかひねくれてるぼくを、いつも笑わせてくれました。
力の抜いた笑いは、おじさんを見て覚えました。
あんな大人になれたらな。
話は変わりますが、こち亀が終わります。
みんな、もちろん知ってますよね。
黒いつながり眉毛の警察官。
ぼくの大好きな、漫画の中の人でした。
いつも、「わしに任せとけ」なんてことを言ってる気がして。
根拠はないけど、頼ってみようって思えてしまって。
両さんを、ぼくは尊敬しています。
本田巡査(バイクに乗ると性格が変わる)が、
叶わない恋をしてしまい落ち込む話があります。
ぼくは、その話がすごい好きなんです。
だいたい、こんな感じのことを言うんです。
------
月は遠くから見るのが美しい。
わしなんか、何度アポロになったことか。
------
そっと、本田を元気づける両さんが大好きになった話です。
たしか、20巻ぐらいのとこですねぇ。
ぼくも、こんな大人になりたいと本当に思います。
「社会なんて大したことないぞ!」って、いつも言い切ってくれるのが、こち亀でした。
だからこそ、今もぼくは、次は何して遊ぼうかって考え続けることができます。
流石に、あんなに怒られて毎日働けませんが。
こち亀に、出会ったきっかけを。
ある人に、漫画を借りたことがきっかけなんですが。
それが最初に書いた、おじさんなのです。
たまに、家に遊びに行くたびに、本棚にズラリと並んだ単行本を借りて帰る。
蓄えられる、ぼくのサブカルチャー。
そして、すこしのエロ。
のめり込みました。こち亀に。
おじさんと、最後の別れの時間。
棺桶の足の辺りに、そっと漫画を忍ばせました。
手元には、息子や娘からの手紙や、本。
だから、ぼくは足元に。
借りっぱなしのこち亀を返しました。
一話完結だし、天国に持っていくにはちょうど良かったと思います。
飽きても、しばらくしたらまた読んでしまう。
そんな魅力がある作品だから。
ぼくのトイレのお供は、いつもこち亀。
運命って、あるのかなぁ。
おじさんが亡くなった年に、こち亀は連載を終了します。
これだけ、国民に愛された作品です。
こんなケース、たくさんあるんだと思います。
だけど、気づいた瞬間に身震いがおきました。
これは、何かの運命なんじゃないかなって。
何なのかは、分かりませんが。
でも、一生忘れない一年になりそうです。
おじさんが、すこしうらやましい。
こち亀の終わりを見なくてすむから。
だから、悔しいから、お供えしようと思ってます。
もうひとつ、ありまして。
おじさんは、熱烈な広島カープのファンでした 。
そのカープは、今年25年ぶりの優勝が目前にまで来ています。
亡くなるちょっと前も、試合を観に行ったりしてたそうです。
ちなみに、ぼくもカープファンです。だから、全力で応援します。
おじさんは、お酒に負けてしまう、
すこし心の弱い人だったのかもしれません。
だけど、きっと
好きなものに愛される人だったんだと思います。
そんな生き方も、あるんだと学びました。