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不思議な食物との遭遇。【ショートショート広告案】

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その謎の塊との出会いは、衝撃的であった。

 

地球探検隊のメンバーであるわたしたちは、

思わず2回ほど目を擦った。

 

 

手に取ることを、とまどうほどの、

私たちのほうを向いたトゲ。

 

「昔の資料に、こんな爆弾みたいなのを見たことがある気をつけろ!」

 

誰かが言った。

 

 

植物というものは、知っている。

本で読んだし、学校で習った。

 

 

人類の先祖は、この地球で植物と共に生きてきたそうだ。

 

そして、果実と呼ばれる部位を食べていたそうだ。

また、物によっては、鑑賞して心の癒しにしていたと聞いている。

 

 

おそらく、この塊は果実と呼ばれるものだろう。

 

 

 

厳選なスキャンの結果、危険性のないことを確認。

 

わたしたちのような、調査団には地球スキャナーが欠かせない。

安易に分からないものに触れたり、

食した結果、死んでいった者もいるからだ。

 

 

ちなみに、地球スキャナーが開発される前は、

謎の生物を食べて上司の上司が死んだと聞いている。

 

 

体内に、人を殺すだけの毒を持っていることが判明。

ただ、それを取り除けば、たいへん美味であることも判明した。

 

自分の命をかけてその食物を見つけた

ジョンフ・グリーンを称えて、

その生物の名前は「フグ」と名付けられた。

 

 

 

わたしたちの今は、

たくさんの犠牲のもとに成り立っているが、

こんな犠牲にはなりたくない。

 

 

 

 

横道にそれてしまった。

 

 

 

その塊は、

緑の部分と、黄色の部分が分かれている。

 

船に戻ると、

より精密な機械をつかって、

分析を開始した。

 

 

「たべられる果実です」

答えが出るのに時間はいらなかった。

 

果実は、皮を剥いて食べるってことは分かっている。

最新鋭の皮むき機械にセットすると、

黄色い水分を含んだ部分が現れた。

 

 

さて、食べられると言っても美味しいのだろうか。

この時間がいちばん憂鬱だ。

 

古来から伝わる物事の決め方

“あみだくじ”を使用。

 

 

厳正なる結果、1人の船員が選ばれた。

 

 

ちなまに、“あみだくじ”をしている時に、お決まりとなっているあのメロディーは、

なんという歌なのだろう。資料がないので、わからないがみんな知っているメロディーだ。

 

 

無駄な話ばっかりしてても仕方ない。

彼は、恐る恐る黄色い果実を口に含んだ。

ちなみに彼の名前は、

カッテナ・シッテナである。

 

ちなみにである。

 

 

 

「うまい!」

 

 

大きな声が響き渡った。

 

どんな味なのだろう。

美味しいのなら食べてみたい。

 

周囲は彼に続いて口にほおばる。

わたしもほおばる。

 

うまい。

どこか、馴染みのある味だ。

口の中にずっと入れていたい味とも言える

 

 

カッテナ・シッテナが名前をつけることになった。

 

「この果実のなまえは、ナシと名付けよう」

 

全員から、反対の声があがる。

べつに、彼は死んでなんかいない。

“フグ”の時とは、わけが違う。

 

 

議論の結果、彼は折れた。

納得のいく答えを導き出せたからだ。

 

 


 

 

西暦30××年

新しい食物がデータに登録された。

 

パインアメの実】

 

名前の由来:

人類の口をいつも甘酸っぱく楽しませる“パインアメ”に、その果実の味がすごく似ているため。

 

 

 

 

 

 

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いつまでも、本物の味。

 

パインアメ