つり革から優しさを。
どうしても、書きたいことがあります。
僕は身長が180センチちょっとありまして、
電車のつり革が、ちょうど顔の前に来るぐらいの場所に。
満員電車に乗っていると、
みんながつり革をつかみ乗り込みます。
そうすると、つり革は、
ニュートンのゆりかごのスタートみたいに、
セットされた状態になります。
これが、ニュートンのゆりかご。
つり革は、いちばん右の玉のようになります。
そして、玉の向かう先には僕の顔が。
駅に止まるたびに、人が降りるたびに、
つり革は僕の顔に向かって、
容赦なく襲いかかります。痛いです。
ある日の満員電車、
いつものようにセットされたつり革。
逃げたいけれど、逃げられない。
メガネのレンズにだけ当たらないように構える。
僕と、つり革のかけひき。
駅が近づき、いよいよかと思った時、
僕の頬を撫でるかのようなスピードでつり革がやってきた。
持っていた人が、そっと、ゆっくり手を離したのです。
ただ、それだけのことですが、
僕はすごく嬉しかったんです。
心遣いだったのか、
余裕のある人だったのか、
それはわかりません。
ただ、忙しい時間だからこそ、
周りの人のことを考えて、
そっと動くことを僕も徹底しようと思えた瞬間でした。
歩きタバコの火が、
子供の顔の前にあるように、
電車のつり革は、
大人の顔の前にある。
忘れずいこう。