あなたのために、エキストラ。
金曜日が、土曜日にかわりました。楽しい週末の訪れです。
お疲れ様でした。良い休日を。
すごく疲れながら、暑苦しいスーツを着て、街を歩く。
道沿いのカフェには、カップルが楽しそうな顔をしてオープンテラスに座ってる。
なんの話をしているんだろうか。
今日のデートのことだろうか、男の夢の話だろうか。
その瞬間、ぼくは彼らの風景になる。
汗を拭きながら、すごくしんどそうな顔をしながら足をひきずるのさ。
「たいへんだな、サラリーマンって」
「いつまでも、大学生でいたいねぇ」
そんな会話が起こればいいな、2人がもっと楽しくなればいいなと思って、
いつも以上に、疲れたサラリーマンを演じる。
ぼくは、誰かの人生のエキストラになろうと思っている。
誰かの風景の1つになって、ほんのすこしだけ関わり合いたい。
本当に、嫌になるほどしんどいけれど、
誰かに見せるしんどさと思ったら、
すこしだけ滑稽に、すこしだけ楽しんで、
いまの状況を打破できる気がしてくる。
フラれたら、絵にかいたようなフラれた男を。
嬉しいことがあったら、見てるだけで幸せになる笑顔を。
それが、僕のいる風景を見ている人にとってプラスになるように演じるのだ。
誰かのためにと思うことは、実は自分を救うことにもなるんだろう。
家に帰ったら、すごく疲れた自分を、自分のために笑ってあげよう。