得も損もない言葉たち。

日常を休まず進め。

あなたのクスッとをください。

小手先で生きていく 社会人メガネ活用講座

 

人類を2つに分けるとしたら、何と何に分けますか?

 

男と女、たけのこ派ときのこ派、犬派と猫派、パンとごはん。

他にも色々あるけど、まぁこんなもんで。

 

 

 

 

で、

 

ぼくがその2つに分ける仕事を任命されたら、

なにを基準に人類をふたつに分けるかと言いますと、

 

 

メガネをかけている人とメガネをかけていない人

 

これで分けたいと思うんですね。

 

高校二年生ぐらいから着用するようになって、大学生になっても愛用。

コンタクトという選択肢は全く持たずに生活をしてきたぼくにとって、

鼻に乗せている2つのレンズは、欠かせない生活アイテムなのです。

 

それは、もちろん、視界をこの上なく良好にしてくれるわけなのですが、

メガネを使って生活をしてきて10年程。

 

ここに、社会人のうまいメガネの使い方をいくつか載せておきます。

もし、あなたが人類を2つに分けたうちの、

メガネをかけてる方なら、是非とも参考にしてください。

メガネをかけていない方なら、是非とも着用してください。

 



f:id:heyheydodo:20170711164346j:plain

 

 


 

--------------------

 

 

1.メガネは視覚を良好にしてくれる

 

もはや、語る必要なしの機能。

目に映るすべてが美しく見えます。

ぼくなんか、メガネを外すともう何も見えないので、

無人島に持って行くならどうする?という質問に、

(メガネも含む)と条件が加えられていたら、もう悩む余地がないのです。

遠いものを見るときに、目を細めてしまうと、

この上なく険しい顔になるので、

そこは爽やかにいましょう。

 

 

--------------------

 

 

2.眠たくなったら、メガネを外そう

 

メガネを外せば、何も見えないということは、

夜眠れない時、自分を無理やり何もできなくさせることができます。

なんとなく、メガネを外してまでスマホにしがみついている自分を想像すると、

ちょっと情けなくなってきて気づいたら瞼は閉じられます。

目を覚ましたら、またすぐにメガネを探して、スマホを手に取ってしまって、

情けなくなって二度寝をしてしまうのです。

 

 

 --------------------

 

 

3.しんどくなったら、メガネをずらそう

 

メガネの使い方は、着ける、外す、ずらす。この3つです。

仕事中に、ものすごくしんどい時、メガネをあえてずらしてください。

あなたの顔は、周りから見てとてもマヌケな顔になります。

大切なのは、ずらしながらも仕事をしているフリをしっかりすること。

「あいつ、メガネずらしながらも仕事やっとるな」と、

ふしぎに周囲が笑ってくれるようになります。

ポイントは、マヌケさを上手く使いこなすということです。

 

 

--------------------

 

 

4.顔は変えれないけど、メガネは変えられる

 

まぁ、メガネを変えたところで、かっこよくなれる訳じゃないんですが。

でも、気分の問題で、なんとなぁくお気軽に心機一転できる方法が、

あたらしいメガネを買うという行為には溢れていると思うのです。

ドラマで俳優さんがやっていた何かに憧れて、

全体的なファッションや髪型まですべてを真似するのは絶対にダメです。

 

悲しいかな、メガネは変えられるけど、顔は変えられないですから。

 

自分の好きなものを選びましょう。

あくまで、自分のために。ね。

 

 

--------------------

 

 

5.気づきたくないことは、見なきゃいいのだ

 

駅を降りて、会社へ向かう途中での道。

改札のところで上司が缶コーヒーを買っている。

あいさつしなきゃいけないけど、

今日はひとりでゆっくり音楽でも聴きながら歩きたい。

さぁ、メガネを外しましょう。そして、歩きながらレンズを拭きましょう。

 

メガネを外しているのだから、気づいていなくて当然。

拭いているフリをして、そっと横を通り過ぎましょう。

 微妙なラインの知り合いと、すれ違う時にもピッタリなのです。

 

 

--------------------

 

いちばん言いたいことは、最後に。

 

6.のび太君になろうよ

 

ぼくが、メガネをかけはじめてから、生き方を意識している人物が一人います。

 

f:id:heyheydodo:20170711161647p:plain

 

そうです。日本一有名な、のんびり生きてる少年。

のび太です。

 

 

決して焦ることなく、自由に、気ままに、

丸いメガネをかかて生き続けてきた人生がのび太君にはあります。

辛くて、しんどい時には、

まるいメガネをかけて下さい。

そして、のび太を憑依させるのです。

しんどい時には、しんどいと言う。

眠たい時には、眠いと言う。

嘆きまくるのです。つねに、自分にあまえて嘆くのです。

 

 

でも、現実世界にはドラえもんはいない。

押入れで寝ていて、どら焼きをあげたら悩みを叶えてくれる人はいない。

だからこそ、自分で解決をしないといけないわけです。

 

 

しんどくなったら、

「ぼくは、眠たくて仕方ないんだぁ~」と嘆いて、

思いっきり寝るのです。

 

「どうしてノルマなんかを達成しないといけないんだぁ~」

 

「暑い、暑すぎるよ。ぼくの周りだけ暑すぎるんだよ」

 

みたいに、思っていることを言葉にして、

生きるのはすごく楽しいと勝手に思っています。

 

ドラえもんの役目を果たすのも自分なので、

 

「そりゃ、君はお給料をもらっているだろ?好きな本を買ってるんだろ?」

 

「仕方ないじゃないか、夏なんだから、もっと楽しむ方法を考えなよ」

 

とか、そういう冷静な言葉をかける自分も秘めておくと、

頭の中で1コマ漫画が描かれて、なんだか気楽に生きていけるのです。

 

 

--------------------

 

 

 

 

以上が、ぼくが考えるメガネをうまく活用する方法なのですが、

どうでしたか。

 

小手先ですが、あなたの鼻の上が空いているなら、

そこにちょこんっとメガネをのせてみたら、

生活の仕方がちょっと変わるんじゃないかなぁと思ってます。

 

 

 

朝起きてメガネを探している自分は、

ものすごく情けないので、

旅行とかの際は、

ちゃんと場所を把握してお休みくださいね。

ほんものラルフローレン。

 

にせものと一緒に、少年時代をすごした。

 

 

お祭りに行って、もらった遊戯王のレアカードは、

ザラザラの印刷紙だった。

 

入手困難な状態でじいちゃんが見つけてきてくれたベイブレードは、

中央に漢字で「風」と書かれた made in china の本物の中華ゴマだった。

 

ゲームセンターで、すっごい難しい条件のUFOキャッチャーがあって、

仲間と必死に挑んで手に入れたPSPは、よく見たらPOPだった。

 

 

いつだって、にせものに気付くのは手に入れたあと。

喉から手が出るほど欲しかったものをゲットした最大限の喜びがあって、

数秒後に謎解きゲームのようにちょっとずつ真実が暴かれていく。

 

 

「あれ?このPSPはカセットを入れるところがない」

 

PSPって単三電池で動くんだったっけ?」

 

「ん?7種類のゲームが内蔵されてる?」

 

「え?ゲームウォッチ?」

 

「ちょっとまって、……P O P」

 

 

こうやって、一瞬の喜びは、永遠の絶望に変わる。

 

本当は、そのにせものを愛すればいいのだけど、

そんなわけにもいかなくて。

周りのみんなが持っている物と圧倒的に違うべつものを、

仕方なく机の引き出しにしまってしまうのでした。

 

 

大人になってから、

というか自分でお金を稼ぐようになってから。

にせものとは、随分ごぶさたの生活をしてきた。

 

 

クロックスも、ちゃんと専門店で買うようにしたし、

iPhoneだって、ちゃんと本物ですよ。当たり前ですけど。

 

唯一、にせものを好んで選んだと言えば、

 

コンビニで売っている「ほぼカニ」と「ほぼホタテ」ぐらいでしょうか。

カニカマってのは、本当によくできていて、

本物のカニをしばらく食べていないぼくにとって、

もはやカニカマこそが本物と思えるぐらいの美味しさをしているわけです。

 

カニ食べ放題ツアーに、もしぼくが参加しても、

カニカマによくにた生き物食べ放題ツアーにしか思えないかもしれません。

大げさですね。はい、大げさです。

 

ぼくに誰か、本物のカニの味を思い出させてください。

ついでに、本物のPSPもほしいです。

ベイブレードと、遊戯王カードはいりません。

 

 

という訳で、自分で物を買えるようになってからは、

ひとりで満足できる食べ物いがいは、

にせものを選ぶことはなくなっていたのです。

 

 

意外に人はそういうところを見ているし、

にせもののブランドを持つぐらいなら、

ふつうの物を持ち歩くほうがええに決まってるんじゃないかと。

 

 

だからこそ、無地のシャツとか、

どこのメーカーか分かっても分からなくても、

なんとなくいい感じの絵が書かれた服を探し出すことをしてました。

 

 

そんなぼくが、

ラルフローレンを履くようになった。

 

 

f:id:heyheydodo:20170705205105p:plain

 

こんなやつです。

おっさんが馬にのって、掃除機を振り回しているマークのやつです。

コンセントが伸びていないので充電式だと思われます。

 

 

…まぁ、あんまり変なことを言うもんじゃないと思うのでこれぐらいにして。

 

 

ラルフローレンの靴下を履いて仕事に行く日ができました。

 

あんまりファッションとかよく分からないぼくでも、

たぶんいい物だってことぐらいは何となく理解できます。

 

 

オシャレは足下からという話も聞いたことがあるし、

それはそれで何かぼくも生まれ変わったかのような気分になるのかなぁとか、

わけのわからない理由で高揚感を得たりしていて。

 

 

どうして、そんな急に、

ラルフローレンを身に付けるようになったかと言いますと。

 

実は、お客様がぼくにくれた靴下だったんですね。

 

 

「営業さんは、靴下とか消耗品やろ?これ買っといたから使いなさい」

 

 

ある日の帰り際に、そっと渡してくれたのがこの靴下でした。

 

夏になると、お茶を出してくれたり、スイカを食べさせてくれたり、

そうめんが湯がかれていたり、ハンドタオルをプレゼントしてくれたり、

いろんなものたくさんのお客様からもらうのですが、

その1つがこのラルフローレンでした。

 

 

 

「こんないいもの、もらえませんよ…」

 

 

ぼくは、さすがに気が引けてしまった。

 

 

「ええよええよ、こんなん安物だから!」

 

 

お客様の金銭感覚と、ぼくの金銭感覚の圧倒的格差。

でも、ありがたく気持ちを受け取ることにして、

そっと靴下を鞄にしまって帰りました。

 

 

なにより嬉しかったのは、

営業の大変さを気遣ってもらえたということ。

 

 

銀行員をしていて、何より考えていることは、

相手の気持ちをどれだけくみ取ってあげられるか。

納得したお金のありかたを見つけ出せるか。

 

 

理不尽なことばっかりだけど、

その一点を見つめて仕事をしてきたことを、

認めてもらえて嬉しかった。

 

 

そして、翌日から、

ぼくの靴下ローテーションには、

紺色の生地に赤いロゴのラルフローレンが追加されたわけです。

 

 

 

 

 

余談ですがこの靴下、

数回履いただけで全体的に色がはげてきました。

 


いい靴下のはずなのに、

かかとがすぐにダメになってきて、

それはぼくが営業を頑張っているからじゃなくて、

あきらかに生地の問題だと分かるような劣化の仕方をしていて。

 

 

あれ?おかしい。

 

 

そんな弱いわけがないぞ、

だってラルフローレンやぞ。

 

 

掃除機をふりまわした馬に乗ったおっさんやぞ。

 

 

 

…ん?

 

 

 f:id:heyheydodo:20170707205921j:plain


 

あれ?

 

 

掃除機じゃない。

 

このおじさんが振り回しているのは…

確実に投げ縄だ。


そもそも、馬の向きも違う。


これは、そうだ、

これは、カウボーイだ。

 

 

 

靴下のどこを探しても、

ブランド名は書かれていない。

 

 


次の日に、営業エリアの100均ローソンの靴下売り場に、

ぼくのものと同じラルフローレンがあった時に、

お客様の言っていた「安物」という言葉が、

本当だったことに気付いた。

 

 

ぼくは、見てはいけないものを、見つけてしまったんだろうか。

本物の高い靴下をもらったと思って、

ありがた~く大切に履きつづけていたほうがよかったんだろうか。

 

 

 

たぶん、そんなことは関係ない。

 

 

お客様の気持ちが嬉しかったのだ。

いいものをもらったから嬉しいとか、

そういうことじゃなくて、

ぼくのためを思ってくれたその事実こそが最大の贈り物だったのだ。

 

 

 

 

今日も、ぼくはラルフローレンを履いて仕事に行った。

 

若干、限界が近づいている。

 

靴下のゴムは伸びてきているし、

足の先も、そろそろ穴が開きそうだ。

 

 

しっかり履きつぶそうと思っている。




 

 

 

わが家にある、

ちょっといいものは、

にせものラルフローレンです。

 


でもこれは、

ぼくにとって、

ちょっといい、

ほんものラルフローレンでもあるのです。

 

 

営業をしていたら、

靴がむれて、足が臭くなる。

 

 

今日も、たくさん歩いて、

順調に足が臭くなったので、

お風呂に入って叫ぼうと思います。

 

 

 

 

つかれた~~~~~~~~~

想いは、せめて、ふんわりと。

 

嘆くことが多い。

特に、日曜日の晩はつらい。

 

SNSを覗けば、サザエさんを上手く使って、

社会人の心の叫びが言語化されている。

 

ぼくも書きたい。

 

でもなぁ、なんだかそれやと、

当たり前すぎるし、気分がどんどん滅入ってくる。

 

そうだ。

 

想いは、せめて、ふんわりと伝えよう。

卵でふんわりとやさしく伝えよう。

重くるしい言葉ほど、やさしく言ってみたらどうなるんだろう。

 

f:id:heyheydodo:20170618203652j:plain

 

やってみました。

 

 

まずは、今のぼくの、精いっぱいの嘆きをどうぞ。

 

 

 

 f:id:heyheydodo:20170618203741j:plain

 

 

ま、1日家でこもってたんですが。

 

 

 

 

つづいて、四字熟語で。

 

 

 

 

f:id:heyheydodo:20170618203850j:plain

 

金曜日まで耐えきれるのかしら。

あぁしんどい。

 

 

 

 

でもやっぱり、

 

 

f:id:heyheydodo:20170618204003j:plain

 

普通がいちばん美味しいと思ったり。

 

 

 

 

四字熟語で、いちばんケチャップたっぷりなのは、

 

 

f:id:heyheydodo:20170618204106j:plain

 

なんだか本筋からそれてきたけど、まぁええか。

 

 

 

 

スープは、…ないけど。

 

 

f:id:heyheydodo:20170618204216j:plain

 

 

 

あ、あかん、食べる気が失せていく。

 

f:id:heyheydodo:20170618204315j:plain

 

 

ダイエットに効く…わきゃないか。

 

 

 

 

固めでも、言い聞かせる催眠食事。

 

f:id:heyheydodo:20170618204437j:plain

 

 

洋食屋さん、使ってください。

 

 

 

 

オムライスの力を使えば、

 

f:id:heyheydodo:20170618204550j:plain

 

あんなに恐ろしい人も、

ほら、やさしく取り立てしてくれそうでしょ。

 

 

 

 

f:id:heyheydodo:20170618204639j:plain

 

美しい女性は、さらに、やさしく。

そうでない女性も、ちょっと、やさしく。

 

 

 

 

 

 

f:id:heyheydodo:20170618204726j:plain

 

あれ、洋食屋さんのお話でしたっけ。

 

 

 

 

途中から、もうなんだか分からないことになってますが、

オムライスの上に言葉を乗せると、

やさしく聞こえるし、

愚痴もすこしだけ聞いてて悪くないでしょ。

 

 

さいごに、

最近ぼくが気づいたことをどうぞ。

 

 

 

 

 

f:id:heyheydodo:20170618204836j:plain

 

 

 

 

 

暑い日が続きます。

眠い日も続きます。

 

 

書いてるだけで、お腹いっぱいになりました。

もう、素麺が食べたいな。



f:id:heyheydodo:20170618210333j:plain 



洋食屋さんですよね。

 

 

鬼の声が聞こえる。【ことわ・ざ】

 

気づけば6月も折り返しちかく。

きっと、もうそろそろ、

【 今年も半分終了 】

みたいな言葉がみなさんのタイムラインに見えてくる季節です。

今年も半分終了したって、暑い夏はまだまだこれからだし、

これと言って何もないのが本音ですよね。

 

 

 

だけど、なんでか分からないけど、

みんな今年を区切りたがるわけで。

ぼくも、そろそろ今年の上半期を反省しないといかんなぁと思ったり。

下半期、さらには来年のことを考えて動かないといけないなぁと感じています。

 

「 へへへ ふふふ 」

 

ん、なにかが笑っている。

 

 

 

 

f:id:heyheydodo:20170613214014p:plain

 

 

 

てなもんで、本日はこちらのことわざについて、

勝手に自由に考えていこうかなぁと思います。

 

どうして鬼に笑われないといけないんだろう。

どうして来年のことを言うとやつらは笑うんだろう。

鬼ってやっぱり、シマシマのパンツを履いてるんだろうか。

角が1本の鬼と、角が2本の鬼はどっちが身分が上なんだろうか。

健康志向の鬼は、牛乳よりも豆乳を好むんだろうか。

もはや、鬼じゃなくても豆を投げつけられたら嫌だろうに。

めっちゃくちゃ怖い鬼のことを、鬼鬼怖いというんだろうか。

 

 

 

…考えれば考えるほど、疑問はとまらないのですが答えは出ないものばかり。

 

 

どうでもいいですよね。うん、ごめんなさい。

 

 

先日、インターネットの質問板で、見つけた書き込みです。

 

ーーーーーーーーーー

 

ぼくは小学校です。

 

生きることに興味がなくなってしまいました。

 

自殺したいと思っています。

 

どうしたらいいでしょう。

 

ーーーーーーーーーー

 

こんな感じのことだったと思います。

それを読んで、ぼくが小学校の頃は、どんなことを考えていたか振り返りました。

 
生きることに興味があったかって言われたら、そうでもなかったかもしれん。

 

ともだちと学校で遊ぶのは楽しかったし、

家に帰って木曜日の夜はポケモンのアニメを楽しみにしていた。

だけど、そう、そんなに「生きる」ということには興味が無かった。

 

「生きる」という行為自体が、あまりにも当然のことだったし、

義務教育を受けているだけで日々が過ぎていく。

将来のことなんて何も考えておらず、

3.2.1.ゴーシューッ!とさけんで、ベイブレードをまわしていた。

 

 

あの時のぼくは、もっとほかに興味のあることがたくさんあった。

 

 

【どうしてぼくは生きているんだ】という、

つまらないテーマの小説を読むぐらいなら、

ズッコケ三人組を読んでいたかったし、

ゾロリの最新刊を楽しみに待っていたかった。

 

 

質問主の少年にはたくさんの答えが寄せられていて、

もっと気楽に考えて生活をしていこうよという提案から、

命の大切さを教えてくれるような話、

なかには、病院への診察をすすめるコメントもあった。

 

どれも正しい、人生の先輩からの助言だと思った。

 

 

「 へへへ、ふふふ 」

 

あ、何かの笑い声が聞こえる。

 

鬼だ。鬼が少年を笑っている。

 

 

 

 

【来年のことを言うと、鬼が笑う】

・これから先の分からないことを、あれこれ言っても仕方ないという意味

 

 

 

ぼくも、いてもたってもいられずコメントを書いた。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

明日、とつぜん死んでしまうかもしれないし、

明日、最高に面白いものに出会えるかもしれない。

生きることに興味がどんどん湧いてくるかもしれない。

 

これからの人生どうなるかなんて、全く分からないんだから、

自分でわざわざ命を落とす必要なんてないんじゃないだろうか。

 

趣味が「面白いもの探し」って言えたら、なんか、ほら、かっこいいじゃないですか。

 

ーーーーーーーーーー

 

 

正しいことを言えたなんて思わないけど、

なんとなく書いてしまった。

 

ひとりの少年の命の話なのに、

かっこいいかどうかなんて話をしてしまった。

 

だけど、なんか、

鬼が笑っているような気がしたんです。

 

 

f:id:heyheydodo:20170613214150j:plain

 

 

 

嘲笑のように馬鹿にした笑いじゃなくて、

「何言ってやがんだ、この若造は」と顔に出た笑い。

 

ぼくも、まだ24年そこそこの人生で何も言えない立場だけど、

なんとなく鬼がそうぼくに書かせた。

 

 

生きることを考えるより、

明日がどうなるかもっとワクワクしようよ。

 

 

来年のことを言うと、鬼が笑う。

 

この言葉の意味と、ぼくの解釈が正しいかどうかは知りません。

テストで書いたら×されるかもしれないので、気を付けてくださいね。

 

 

でも、ほら、あれじゃないですか。

人に対して使う言葉は、

良い方向に何かを動かす力があるほうがいいじゃないですか。

 

 

銀行の仕事で、毎日たくさんの人生の先輩方とお話をするんですが。

 

どの先輩も、先のことよりも、毎日を必死に生きてきたと言っていた。

必死に生きるというのは、一生懸命楽しむってこと。

 

 

しんどいことのほうが多いけど、

楽しいことが見つかった時に、

人生はとっても素敵に見えてくるのよ。

 

ぼくが、この前、お客さんからもらった金言です。

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ~不安だ。人生が不安だ。

 

今やっている仕事が、ずっと続けられるか分からないし、

勉強していることが、夢に繋がっているのか分からない。

 

なりたいよ、なりたいよ、なりたい人になりたいよ。

 

あぁ~~~~~

 

 

 

…でも、鬼に呆れられる前に、明日をもっとワクワクしよう。

 

 

 

 

f:id:heyheydodo:20170613214254j:plain

 

 

 

 

父の日は、パパの日。【ショートショート】

 

 

子どもから贈られるプレゼントは、一生物だ。

それが食べる物なら、包装紙だけでも置いておきたい。

手紙なんかが入っていたら、ファイルにしまって何度も読みたい。

たとえば、娘が大きくなって、反抗期になって、

いっしょにいたくないって言われても、

そんなときは、もらった手紙を読みかえす。

そうすれば、あの頃の娘がそこにいて、

反抗期だっていつか終わるときがくるし、

気づけばドラマのように結婚式で泣きじゃくるのだろうなぁ。


娘が幼稚園に通いだして、最初の父の日前夜。

はじめて父の日というものを教えてもらって、

なにかをパパにプレゼントしようと先生は娘に言うだろう。

言ってくれるにちがいない。


だって、ほら母の日には、

しっかりきれいなお花を作って帰ってきたではないか。

誕生日よりも、わくわくしてしまうのは、

「パパおめでとう」よりも、「パパありがとう」と言われたいからだ。


 感謝されたいわけじゃないけど、

「ありがとう」と娘に言ってもらえる期間は限られているはずだ。

もしかしたら、うちの娘の反抗期だけ来年くるかもしれない。

 

 

 

男は、すごくその一日をソワソワしていた。

 

 

 

仕事を終えて、家にとんでかえる。

娘が寝てからじゃダメだ。

父の日は、今日しかないのだ。

何度も言いたくなるのは、

もしかしたら、うちの娘の反抗期だけ来年にくるかもしれないという不安である。

 

 

「パパおかえり~」

 

 

いつものように、娘が言ってくれる。

いつものように、ぼくは娘に言う。

 

 

「まな~ただいま~」

 

 

いつもなら、妻にもおなじように言葉をかけるのだが、

今日はすこし焦っているのだ。

ネクタイを外して、カッターシャツを脱いで、部屋着になって、

おとなしくすんなりと定位置に座る。

普段なら、もうちょっとダラダラと動くのだが、

今日は2倍速である。

そして聞えてくるあの言葉。

 

 

「パパいつもありがとう」

 

 

娘の手には、一枚の紙があった。

あぁ、オヤジよ。田舎のオヤジよ。

ぼくは、こんなにしあわせな瞬間がくるなんて思ってもいなかったよ。

普段の仕事でのストレスなんて、もう忘却のどこかへ、そう、彼方へ消えたよ。

 

妻も、ほほえましく娘とぼくのやりとりを見つめている。

あぁ、妻よ。愛する妻よ。

今日だけは、普段以上にぼくのしあわせに同感してくれたまえ。

ぼくのフィギュア収集の趣味には無関心の君も、

父親としてのしあわせには全面的に同感してくれたまえ。

 

 

「なんだい?」

細く細くなった目で、ぼくはニヤけながら娘に聞いた。

 

 

「今日は、父の日だから。はい!パパにプレゼント!」

 

 

「なになに?え~っと…」

 

 

娘に渡された紙には、こう書かれていた。

 

 

 

くらぶ まな

でんわばんごう 06-××××ー〇〇〇〇

ぱぱだいすきだよ♡また来てね♡

 

 

「パパがおへやでだいじにしてるやつ、まなもあげるね。パパいつもありがとう」

 

 

 

それは、まぎれもなく、

幼稚園児がかいたキャバクラの名刺だったのである。

 

 

 

「…まなちゃん、そろそろオヤスミしよっか」

 

 

妻が、空間を切る。

 

 

「もうちょっと、夜更かしもいいじゃないか」

 

 

ぼくの言葉は、弱く弱くこぼれた。

 

 

その日の会議は、

ながくながくリビングで続いた。

「死ね」って言われても、死なないよ。

 

「死ね」と言われて、どんな顔をしたらいいのでしょうか。

なんと答えたら、いいのでしょうか。

 

 

『いじめ』について、真剣に考えている。大学生になって、会社に入って、心底思うことが、いじめがない空間が、どれだけ素晴らしいことなのかってことだ。それだけで、ものすごい幸福感を得て生活をしている。

 

たくさんの友達や、先輩後輩にかこまれて、毎日すんごいしんどいくせに幸福を感じれていられるのは、『いじめ』がそこには一切ないから。それに尽きると思うのです。

 

 

 

中学生のころに、水泳をやっていました。

 

話はとつぜんに。

 

毎日、練習に行って、まわりの人たちに「死ね」と言われ続ける数年をすごしました。そいつらの中で、内部分裂が起きたりもしていて、居場所をなくした人間が、ぼくに話しかけてくる日もありました。

数日したら、また仲直りしたのか、一瞬のともだちは「死ね」を言ってくる人間になりました。

 

 

ぼくは、泳ぐのが下手でした。まわりの人達より、タイムも遅くて。そして、太り気味だったのでからかわれて。いつのまにか、それが「死ね」にかわっていて。

スヌーピーとプーさんに似ているから、スヌープーと言われていたこともあるし、長州小力が流行っていたので、小力と言われていた時期もあります。

 

 

余談ですが。

 

流行り廃りがあるなぁと思うのが、長州小力という悪口が、いまはサブいですよね。

でも、スヌーピーとかプーさんは普遍的な存在だから、いまも使える悪口なんだと思います。

 

余談でした。

 

 

ぼくは、2005年のM-1グランプリが大好きです。その年に優勝したのはブラックマヨネーズなのですが、入場してくるシーンがものすごくかっこよかったんですよね。

 

『 モテない男たちの逆襲 ブラックマヨネーズ 』

 

こんなキャッチフレーズだったのですが、別にモテたいとかそんな感情があったわけではなくて。ハゲとブツブツというコンプレックスを前面に引き出したVTR。どうせ、コンプレックスだけを笑いにしているんだろうなぁと、当時のぼくは思っていました。

 

 

だって、その頃のぼくには、スヌープーと言われても、小力と言われても、ヘラヘラするしか方法が無かったから。

ここで、小力のモノマネでもしようもんなら、周りは爆笑だったのだろうけど、悪口として言われたことを受け入れてしまうことはどうしてもできなかった。

だから、親が与えてくれたスヌーピーのタオル入れも破いて捨てたりしてました。

 

 

でも、ブラックマヨネーズはちがった。見ていて、もう爆笑した。4分ぐらいのネタが、ずっと笑いっぱなし。オチにすこしだけコンプレックスを混ぜ込んでいたけど、そんなのどうでもいいくらいに圧倒的に面白かった。

 

お腹が痛いぐらいわらって、観終わった感想は、「おもろい」よりも「かっこいい」が大きかったのを覚えています。ビデオに録画していたから、何度も何度も再生した。

 

 

「そうだ、面白いことは、かっこいいんだ」

 

 

水泳のタイムがはやいのがどうした。くそったれが。

そんなことよりも、面白い人間のほうがよっぽどかっこいいわ。

毎日「死ね」と言われることが当たり前の日常を、その漫才は否定してくれた。

どうして、ものさしを1つしかぼくは持てなかったんだろうか。

それから、世界は大きく開いていったことを覚えています。

 

 

 

お笑いがもっと大好きになったし、ラジオを聴くようにもなった。今まで、単純に笑うためだけに見ていたガキの使いトークを、笑いの勉強のために見るようになった。

 

スポーツをやっていたり、勉強を頑張っていたりすると、それができない人に対して嘲笑の目が向けられる空間があったりしますよね。スクールカーストとかそういうやつは、もっとひどくて、外見とか「なんとなく」とかそんな感じだったりする。

 

「死ね」と言われる理由を考えているとき、ぼくは自分が泳ぐのが遅いからだと勝手に解釈をしていました。あとは、すこし太っていたから。

 

でも、なんでそんなことでイジめられないといけないんだろうか。

 

おもろい=かっこいい という、ものさしを持てた瞬間、「死ね」としか悪口が言えない相手が、すごくレベルの低い人間に思えて仕方なくなってきたりしました。肩パンという行為で、人の腕にあざを作ることしかできない人間は終わっていると思えるようになりました。

 

それから、1年ぐらいでぼくは水泳を辞めたんです。

山口百恵のように、ゴーグルをプールサイドに置くことはしませんでした。

だいたい、みんながもらったりする色紙は、ぼくにはありませんでした。

 
どうでもよかった。
 
あのプールサイドは時間がとまっている。

 

きっとぼくがいなくなっても、また同じように、くだらないものさしで人を判断して誰かが「死ね」と言われていくだけなんだ。そんな場所に、いる必要なんて、ひとつもなかった。

 

高校生になって、大学生になって、社会人になって、「死ね」と言われなくなっている。生きていることを肯定もされないが、否定されることもなくなった。ぼくは、プールサイドを抜け出して心底よかったと思っている。

 

 

生きていることを否定されないということは、本当にしあわせだ。

誰かと会って「死ね」と言われないことは、本当に最高だ。

 

 

もし、あの頃のぼくと同じようにプールサイドにとどまっている人がいたら、今すぐにでもゴーグルを置いて抜け出してほしい。百恵ちゃんのように華やかな終わりかたなんかしなくていい。かっこ悪くたってかまわないし、周りになにを言われようが関係ない。

 

 

そういえば、大学生の頃に、

知人に「〇〇って、スヌーピーにちょっと似てるよね」と言われた。

 

「ほんまに?まぁ、たしかに似てるかもしれへんなぁ」

と答えて、話はスヌーピーの話題で盛り上がった。

 

ふしぎだ、あの頃と全然違う。

でも分かる、分かるんだ。悪口かどうかなんて、すぐ分かる。

ぼくはその時に、心の底から、いまいる場所が幸福なんだと気づけました。

 

 

2005年のM-1グランプリが、ぼくの人生を変えたように、

人それぞれに人生を変える何かがあるんやないかと思うんです。

だから、ぼくも何かを生み出せるような仕事がしたいんだなって思うんです。

 

 

…あぁこれを就活で言えば、人生変わってたかもなぁ。

なんてね。

 

 

 

 

最後に、本当にいちばん言いたいことを。

 

人は、「死ね」と言われた人間の顔を一生覚えている。

 

いまでも、夢でその顔が浮かぶことがあります。

周りの人から、そいつらの話を聞くことがあります。

ただただ願うことは、そいつらの人生が失敗すればいいということだけです。

いまのとこ、誰一人オリンピック選手になっていないことが、最高にうれしいです。

 

 

あれ、そんなことを言ってしまったら、

さっきまでのやさしい感じが台無しじゃんって思ったりしますか?

 

 

それだけ、『いじめる』という行為は酷いものだということを、分かってほしくて。

 

 

気分を害してしまったらごめんなさい。

 

 

あぁ、どうしよう。

 

 

そうだ。

 

 

ブラックマヨネーズの漫才をみて、

笑ってください。

 

 

youtu.be

 

 

 

 

笑いの趣味は人それぞれなので、

ハマらなかったらごめんなさいね。

黒の、わ3。

 

和食をいただきに、靴をぬぐ。

その日は、けっこう人が来ていて、

あいてる靴箱を探すことからはじまった。

 

新幹線の指定席とはちがって、

靴箱は自由席です。

 

おなかの調子も、そんなに良くなかったので、

やさしい味付けの御膳をたべたいなぁって思ったりしながら。

 

そんなことより、靴箱靴箱。

 

あ1 ひ2

ひらがなと数字を追っていく。

 

 

ようやく見つけた。

黒の、わ3。



https://www.instagram.com/p/BU5MmPxgjOD/




あ、なんだか、

クロワッサンが食べたい気分。

とか言いながら、

和食を食べた夜がありました。

 

『帰りたくて、家』

 

電車がしんどい。

人がたくさん乗っていれば、乗っているだけしんどいね。

まわりの人たちも、おんなじことを思っているだろうね。

 

ぼくも、満員電車のひとり。

だれかが掴みたいつり革を、必死に手放さないで揺れている。

 

電車がおくれると、

たくさんの人たちイライラしてくる。

なんとなぁく、ホームが居心地の悪い感じになって、

イヤホンをして音楽を聴いていても晴れない。

 

 

おっさんがキレている。

駅員さんをつかまえて、ストレスを思い切り発散させている。

ぼくのイヤホンを通りこして聞こえてくる怒声。

 

会社でうまくいってないのか、

夫婦仲がいまいちなのか知らないけど、

キレたおっさんほど、周りの気分をわるくする生物はいない。

 

1位 キレたおっさん

2位 頭の上をグルグルまわる虫

 3位は、う~ん。家で出くわす何かしらの虫にしておこう。

 

 

その日の遅延は、沿線火災だった。

線路の近くで、火事があったから電車は一時停止。

火がおさまるまで、足止めをくらったというわけで。

 

もちろん、沿線火災なので、

ほかの電車は動いている。

振替輸送もあるから、別ルートで帰宅だってできるのだ。

 

 

なのに、おっさんはキレることをやめない。

ただひたすらに、駅員さんに何かを語っているのだ。

 

 

どうして、おっさんはこんなに怒っているのだろうか。

 

仕事が終わって、ヘトヘトなのに電車が来ない。

だから怒っているんだろう。たぶん。

 

その先に待っているものは、晩酌やテレビ、風呂といった時間だろうな。

おおまかに言うと、家に帰りたくて仕方ないのだ。たぶん。

 

つまり、おっさんはホームシックなのである。

お家に帰りたくて、帰りたくて仕方ないから、

駅員さんにその辛さをぶつけているのである。

 

 

 

野球中継がみたくて、焼酎をのみたくて、風呂に入りたくて、

俺の叫びを聴いてくれ! 『帰りたくて、家』

 

 

イヤホンをつけて、音楽を聴いているから、

本当のことは分からないけど、

とりあえず大体の人がキレている理由なんてこんなもんだ。

 

あとはちょっとの、

仕事がうまくいかないとか夫婦仲がいまいちとか、

そういうスパイスが効いているそれだけなんだ。

 

 

いい年した大人が、

ホームシックで駄々をこねている。

 

そう思ったら、なんだかおかしく見えてくる。

むかしやってた水泳の合宿で、

家に帰りたいと泣いていた少年とほとんど同じだ。

 

 

それからしばらく、

おっさんの『帰りたくて、家』を聴いていたと。

というより観ていた。

 

 

電車はようやく到着して、新快速は動きだした。

もうそれはそれはギュウギュウである。

 

いつもの駅に到着したら、

ホームにはこれまた沢山の帰宅人がいた。

ぼくの乗ってきた電車を待ちにまった人たち。

 

 

降りた人が作ったスペースに、

これでもかと乗る人がなだれ込む。

 

 

もう乗れないだろって状態のところへ、

タックルのように乗り込んだおっさんがいた。

そして、そのタックルを思い切りくらったおっさんがいた。

 

あまりの勢いに、カチンときたのか、

タックルをくらったおっさんは、

相手をつかんでホームへ投げた。

 

くびねっこを掴んで、

柔道でいうとこの大外刈りをきめていた。

 

 

ケンカである。

 

 

『帰りたくて、家』が脳内に流れてくる。

ぼくのプレイリストにそんな曲はないけど、もう何度目のリピートだろうか。

 

 

とっくみあいの二人をホームにのこして、

満員の電車はゆっくりと出発をした。

 

 

 

改札へ向かうぼくの横を、

猛ダッシュで駅員さんがすれ違っていく。

 

 

駅員さんだって、

はやく家に帰りたいんやろなぁとか思ったりする。

 

人間は、すごく単純なことで怒っていると仮定すると、

おバカに見えてくるから面白い。

 

これからは駅でキレているおっさんは、

ホームシックであると定義づけしてみてください。

『帰りたくて、家』が聴こえてきますよ。

 

 

Ca va ?

 

文学部の大学生だった。

特に、やりたいことが明確にあったわけではなく、

なんとなく本を読んだりするのが好きだから選んだ。

 

 

社会学を専攻していたので、

フジロックの映像を眺める授業があったり、

ディアハンターというロバー・デニーロ主演の名作を、

息をのみながら鑑賞する授業があったりした。

 

テストは基本的に論述だけど、

世の中の事象を、

その授業なりの解釈で書けばよくて簡単だった。

 

 

そんな大学生活で、いちばん苦労したのは第二外国語の授業だった。

 

 

ぼくの大学で第二外国語は、4つ選択肢があった。

 

韓国、中国、ドイツ、フランス

この4か国の中から学生は選択して、2年間ぐらい授業を受ける。

 

 

どうしよう、どれも勉強したくない。

英語はちょっとだけ喋れるようになりたいけど、

そのちょっとだけ喋れるようになれるまでに、

ほかの言語を勉強する余裕があるわけがない。

 

 

ともだちと色々相談して、

いちばん単位取得がかんたんなものを選ぶことにした。

 

希望順位を提出させられるということは、

希望どうりにいかない人も出るということ。

 

 

韓国 中国 ドイツ フランス

 

この順番で提出をした。

ドイツ語とフランス語は、

男性名詞、女性名詞とかがあって非常にややこしいと聞いたからだ。

 

 

勉強したくない科目なんだから、

簡単に取得できるものに限る。

 

希望理由は、用紙にみっちり書いた。

なぜ韓国語を学びたいのか、そこで学んだことをどう活かすのか。

けっこうな時間を割いて、書いたのを覚えている。

 

 

 

 

そして、数日後。

 

ぼくは、フランス語の教室にひとりで座っていた。

フランス語で自己紹介を、ぼっちでしていた。

 

仕方ない、ぼくの書いた希望理由がダメだったのだ。

ともだちは、白紙で出したのに韓国語のクラスにいた。

 

文句は言いたくない。

ぼくに運がなかったのだから仕方ない。

そんな気持ちで、ひとり座っていた。

 

ただひとつ、たったひとつ。

どうしても消化しきれていないことがある。

 

 

 

それは何かって、

 

 

ぼくが受講していたフランス語の先生が、

なんでか分からないけど、

韓国の人だったということなんですよね。



複雑な心境だった。


学びたい言語を、教えてくれるはずの先生がぼくにフランス語を教えている。


 

複雑に入りくんでて、

男性名詞、女性名詞どころじゃない心持でした。

 

 

 

 

Ca va ?


 

みなさんお元気ですか?


それでは、いい休日を。


唯一、覚えてるフランス語でした。

ミルクココアが飲みたくて。

 

「うぅ~」

 

トイレで、ぼくは死にそうな声をもらした。

 

 

会社に行くまでに、乗り換えが何度かあって、

そのたびに改札を出たり、階段を降りたり、人と肩がぶつかったりしている。

 

朝起きて、もうれつに喉が渇いている時は、お茶をがぶ飲みするが、

そうじゃないときは歯を磨いておわり。

 

なにも飲まずに家を出るから、

途中で何かを飲みたくなって自動販売機を利用する。

 

 

健康診断をうけ、先生に注意を受けてから、

特保のお茶を買うように意識しているが、

どうしても冷たいミルクココアが飲みたい朝だった。

 

コカコーラの自販機には、ない。

アサヒの自販機にも、ない。

 

 

「あぁ、いっそのことミロでもいい!」

って思ったけどミロはもっと見つからない。

 

コンビニじゃだめなんだ。

キンキンに冷えたミルクココアを飲み干したいんだ。

 

 

喉の渇きとは違う。

たぶんぼくは今、ココアゾンビだ。

出勤前のココアゾンビ。

 

 

 

いつもの駅の端の端。

なんのメーカーの自販機か分からないところに、

ミルクココアをみつけた。

 

 

なんとも、絶妙な茶色のパッケージの缶。

飲みたかったものが、そこにはあった。

 

 

ぼくが本当のゾンビなら、

自販機を押し倒して中身をとりだし、

おなかがたぷたぷになるまで飲み干すのだが。

 

あいにく、ココアゾンビである前に、

いっぱしのサラリーマンなのだから仕方ない。

 

財布から500円玉を取り出して、

130円の1本をいただくことにする。

 

 

投入

 

 

・・・あれ・・・ボタンが光らない。

 

 

購入の権利を行使するためにある、自販機のボタンが光らない。

その代わり、10円と書かれたランプが光っている。

 

悲劇だ。10円のお釣りが切れている。

10円のお釣りが無いということは、

ぼくの500円ではミルクココアが買えないのだ。

 

 

「金ならある、ココアをくれ!」

 

祈るような思いで、再度お金を投入するも同じこと。

ぼくの財布には、1000円札と500円玉と、あと1円が数枚しかない。

 

 

買えない。

 

ミルクココアが買えない。

 

目の前にあるのに買えない。

 

お金があるのに買えない。

 

 

「いっそ、値上げしてくれ!150円にしてくれ!」

 

あの時のぼくは、ココアの相場を変えてしまうぐらいの思想を持っていた。

それぐらい、目の真にある茶色のパッケージは輝いて見えたのだ。

 

どんなにあがいても、ココアは出てこない。

 

後ろ髪を引かれる思い(最近髪を切った)で、会社へ向かう。

その日は、もう、頭のなかは悔しさでいっぱいだった。

30円を持ち合わせていない自分に悔しさを感じながら、特保のお茶を飲んだ。

 

 

 

帰り道。

ぼくは、朝とおなじ自販機の前にいた。

 

 

光っている。

10円のランプが光っている。

 

なんということだ、12時間労働の間に、

お釣りは一切チャージされていないという。

 

 

業者のお兄ちゃんよ、頼むよ。

ぼくにミルクココアを飲ませてくれよ。

お願いよ。

 

その日は、結局、いっさいミルクもココアも喉を通らなかった。

特保のお茶は、しっかり通った。

 

 

 

お風呂に入りながら考えていた。

 

 

半日経って、10円のお釣りが切れたままということは…、

つまりその間に、誰一人その自販機で飲み物を買っていないということじゃないか。

 

 

とんでもなく、不人気な自販機なんじゃないだろうか。

 

それとも、ぼくのように志半ばで会社へ向かったゾンビがたくさんいたんだろうか。

どっちなんだろう。

 

 

 

そして、今日の朝、

ぼくは財布に1000円札と3枚の十円を入れて、

満を持していつもの自販機に挑んだのです。

 

 

 

 

それでも、

 

それでも、

 

10円のランプは光っていました。

 

 

あんなに飲みたかったキンキンに冷えたミルクココアは、

とうぜん、キンキンに冷えたミルクココアでしたが、

なんだか複雑な気分でぼくは生き返りました。

 

 

そして、お腹をひやして、

トイレに駆け込んだのです。

 

 

「うぅ~」


冷えすぎや。

 


昨日から、今朝までの話です。